廉価DVD戦争、本格化か?

690円の魅力

 ワーナー エンターテイメント ジャパン株式会社(ワーナー・ホーム・ビデオ)は、DVD20タイトルを各690円で再販する「1枚690円キャンペーン」を実施する。発売日は6月24日。期間限定出荷となっており、店頭在庫が完売次第終了となる。

 単枚の低価格再販キャンペーンとしては、20世紀フォックスが999円の「999(キュ! キュ! キュ!)セール」や「今だけBEST HITS 50が\999」を展開。ワーナーもファミリー向けアニメを500円で販売する「ワンコインDVD」シリーズを販売しているが、ハリウッド・メジャー作品の再販価格としては、今回の690円が最安値となる。

 近年、ハリウッド映画の再販版が様々なキャンペーンによって、安価で販売されている。とはいえ、1枚1000円程度が中心で、それを切ることはあまりなかった。しかし、今回ワーナーが提示したのは690円。記事にもあるように最安値である。
 私の場合、1000円という価格であってもDVDを買うことはなかった。DVDを買うということは、基本的には何回も観ることを前提としているわけだが、ラインナップのほとんどが一度観れば十分という感じの作品だったからである。そして、それは今回のラインナップでも同じなのだが、690円ならという気持ちがなくもない。しかし、観る時間もないし、テレビで放映されるもの観るだけでも十分だし、わざわざ買わなくても良いかと思っている。というわけで、あまり魅力は感じない。

パブリックドメインの魅力

 今回の作品は現代映画のラインナップであるが、すでに、古い映画のなかには、パブリックドメインとなった作品もあり、それらはより安価でDVD化されている。
 筆頭は「PD Classic」の380円DVDだ。ここの製品は画質にも定評があり、映画好きには評価されている。次は「コスミックインターナショナル(コスミック出版)」の500円DVD。こちらは、ミステリや戦略シュミレーションなどの書籍を扱う出版社による製品で、一般書店やアマゾンなどで購入できる。販路の広さが長所だが、画質については評価が低い。もうひとつが、100円ショップのダイソーを展開する「大創産業」の315円DVDである。今後ラインナップが増えることはあまり期待できないが、画質もそれほど悪くなく、価格以上の価値はあるだろう。
 各社のタイトルについては、サイト等を参照していただきたいが、中には、他社から3000円程度で販売されているものもあるので、古い映画を買う際には、これらのメーカーから発売されていないか、あるいは発売される予定はないかを調べてみることをお勧めする。また、300円代だとレンタル程度の価格なので、家に物が増えるのがいやでなければ、買ってしまっても良いだろう。
 ただし、高価格で販売されている製品は、それなりのアドバンテージ(高画質やノーカット版、特典映像など)があることが多いので、その点も検討する必要がある。あるいは、上記の三社の中でも同じ作品を出している場合もあるので、画質や価格に納得のできる物を選ぶと良いだろう。

邦画はいつ安くなるか

 上述の内容は、すべて洋画に関してである。ダイソーからは315円で邦画(Vシネのような、あまり知らない作品)も何作か発売されているが、観たいと思えるものはない。
 古い邦画がパブリックドメイン化するのがいつになるのかわからないが、それまではテレビでの放映をDVD化するか、高い金を出して買うかしかないようだ。
 また、テレビドラマや近年の邦画も軒並み高価で、買う気が起きない。映画は上映時に利益をあげられていないのかもしれないが、ドラマに関しては、もっと安価にできないのだろうか。高利少売でなくてはやっていけないのだろうか。駄作でも何でもDVD化するのではなく、良作のみをDVD化することで、薄利多売方式への転換を図ってほしいものだが、なかなかそううまくもいかないのだろう。