「NEWS」内博貴、飲酒補導により無期謹慎

 おととい記事を書いてから(2005/07/16「NEWSのメンバーが飲酒で補導」)、少しづついろいろなことが明らかなにってきたので、もう一度まとめてみようと思う。

補導へと至った経緯

 この日になって、飲酒に至った経緯をフジテレビが発表した。NEWSは14日に仙台市体育館で行われた「日本対オランダ戦」に出演。試合後、メンバー6人は帰京したが、少年を含む2人は翌日に大阪で仕事の予定があり宿泊。午後9時ごろから同局スポーツ局社員との食事会に参加。その席で、社員や成年メンバーとともに飲酒した。

 食事会後、ホテルに戻ったが、翌15日午前1時ごろに別の飲食店に。そこで再び酒を飲んだという。その後、少年は宿泊先のホテルに1人で帰ろうとしたが、途中で補導された。

 仙台中央署によると15日未明、同市内中心部の勾当台(こうとうだい)公園で「少年が暴れている」という通行人からの通報で、署員が1人で大声を出していた少年を見つけ任意同行。少年が酔っていたことから、酔いがさめるまでの3〜4時間、署内で保護。厳重注意をした上でホテルに帰した。同署は「かなり酔っ払っていた」としている。

 先日書いた記事では、一人だけが呼ばれたのは不自然と書いたが、その後の詳細情報を見る限りでは、一人だけであったことは事実のようだ。人気アイドルらしく、スケジュールの都合で8人中6人は即日中に仙台から東京へ戻ってきたということである。残ったのは錦戸亮内博貴の2名。錦戸は成人しているので、飲酒にも問題はないが、内は18才であったため、このような大事になってしまった。
 しかも、内だけが、その後の2次会に参加し、結果として補導されてしまったのである。彼を呼んだのがフジテレビの菊間千乃アナウンサーであったらしい。彼女に呼び出された内が2次会の後、一人でホテルへと戻る途中で、通報を受けた警察官に補導されたということだ。

この事件の問題点

 18才の飲酒など、決して珍しいことではない。大学生になれば、ほとんどの人は飲酒経験があるだろう。私だって、未成年の時に飲酒をしたことがあるし、昨日・一昨日も未成年も含んだメンバーで多少のお酒を飲んだ。胸を張って言えるようなことではないが、未成年の飲酒というのは、それほど問題になることでもない。
 しかし、その未成年が泥酔したとなれば話は別だ。未成年にお酒を飲ませる場合、同席している大人が飲酒量を管理しなくてはいけない。高校生であれば、一杯程度でとどめておくべきだろう。にもかかわらず、今回は帰路において、通報されるほどの大声を出し、警察官も「かなり酔っていたため一時署内で事情を聴き、注意した」そうだ。
 つまり、これは、内自身の自覚が足りなかったことも問題であるが、それ以上に、周囲の大人に問題がある。ある程度まででやめさせておけば、こんなことにはならなかっただろう。この責任を内一人に押し付けるのは酷である。同席した大人たちの責任を追及しなくてはいけない。

ジャニーズ事務所の問題点

 NEWSはジャニーズ事務所の中でも若手のけん引役となっており、13日に発売した新曲「TEPPEN」のプロモーションに力を入れていた矢先。しかし、不祥事には厳しい姿勢で臨む判断からの「無期謹慎」。過去にも同様、もしくは“それ以上”の処分で対処してきた。道路交通法違反などで無期謹慎となったSMAP稲垣吾郎(31)は復帰まで、約5カ月かかっており、年内復帰は絶望的だ。

 今回の件は、ジャニーズ事務所に直接の落ち度はなかったが、「不祥事には厳しい姿勢で臨む」などと平然と述べてしまうところに疑問を感じる。これは、タレント自身のことを考えての決断などではなく、一種のパフォーマンスなのだろう。つまり、ジャニーズ事務所は、タレントをしっかり管理しているから、人気タレントであっても、甘くすることなく、厳しく処分している、ということのアピールなのである。
 タレント育成、管理能力があれば、こういう問題が起こることは、ほとんど考えられない。ジャニーズ事務所には未成年のタレントが多数所属しているとはいえ、飲酒・喫煙事件の頻度が高すぎる。このことは、タレント管理能力の欠如を如実に表しているだろう。
 そして、問題が表面化した時だけ、厳格な処分を下す。本来ならば、表に現れる前に、対処していなくてはいけない。表沙汰になって初めて処分するのでは、タレント育成の一環であるとは思えない。結局、タレント育成などではなく、臭いものにはふた的な事務所本位の処置なのだろう。

フジテレビ社員の問題点

 少年らと同席したことが明らかになったフジテレビの菊間千乃アナと同局の複数のスポーツ局社員にも、未成年を連れ回しての深夜に及んだ飲酒とあって、厳しい処分が検討されている。

 菊間アナが参加したのは「2次会」とみられるが、関係者によると、菊間アナらフジテレビ関係者が、すでに食事会を終え宿泊先のホテルに戻っていた少年を誘ったという。フジテレビでは「弊社社員がそれぞれ異なった席で未成年の飲酒を容認し、こうした事態を招いた原因となったのは事実」とし「監督すべき社員が適切な判断ができなかったことは遺憾」などと謝罪した。

 処分について同局は「事実関係をさらに調査した上で判断する」としているが、それまでに菊間アナは、ワールドグランプリ番組からの降板と、司会を務める同局系情報番組「こたえてちょーだい!」(月〜金曜・前9時55分)の18〜22日までの出演を見合わせることが決まった。少年には無期謹慎の処分が科されるとあって、未成年と知りながら飲酒を止めなかった同局社員にも厳しい処分が下される可能性が高い。最悪「こたえて―」降板の可能性もありそうだ。

 一方、フジテレビによると、菊間アナは「的確な判断ができず、申し訳なく思っている」と話しており、22日までの自粛を決めた。16日の「女子バレーボール」ブラジル戦は、長坂哲夫アナ(38)が代わりを務めた。

 先述したように、今回の件については、同席したフジテレビ社員の責任が大きい。厳しい処分をして当然である。
 問題の一つは、上記の引用記事中にもあるように、未成年の飲酒を容認したことである。また、飲酒を容認しただけでなく、泥酔するまで止めなかったことことも大きな問題だ。
 だが、何よりも信じられないのは、泥酔した少年を一人で帰したということである。もし、泥酔するまで飲ませてしまったのであれば、大人が責任を持って、送り届けるべきであろう。どうして、一人で帰したりしたのだろうか。少年に限らず、大人であっても、泥酔した人がいたら、タクシーに乗せるなどして、面倒を見るのが普通だろう。
 ましてや今回は、アルバイトの学生などではなく、社会的に注目度の高い、人気アイドルである。そういう人間を一人で帰したら、どういうことになるか容易に予想できるはずだ。自分たちが楽しむことで精一杯だったのだろうか。あまりにお粗末な不祥事である。

ファンの反応

 ファンにとってショックだったのは、彼が無期謹慎になったこと以上に、菊間アナが個人的に呼び出したらしいということではないだろうか。

 さらに少年は15日午前1時ごろから市内の別の飲食店でも数人と飲酒。“1次会”が終わり、いったんホテルに戻った少年を、再び大人の酒席に引き込んだのは菊間アナ。フジも「そのように聞いています」(広報部)と認めている。携帯電話かメールで直接少年を呼び出したとの情報もある。NEWSのもう1人のメンバーは同席しなかった。

 もちろん、無期謹慎という処分はファンにとって悲しいことだと思う。だが、特にジャニーズタレントのファンは、好きなタレントが、女性アイドルやアナウンサーなどと個人的に親しいという情報に過敏に反応する。菊間アナが内を直接呼び出したとなれば、菊間アナへの風あたりも強くなることだろう。

 ≪ネットは同情的声が多数≫インターネット上のNEWSのファンサイトなどには17日までに「(少年の復帰を)いつまでも待とう」「(少年を)責めないで」など、少年に同情的なメッセージが数多く書き込まれた。ファンの間では復帰を求める署名活動を呼びかける動きも出ているという。また、少年側の非を指摘しながら「酔っている未成年を送り届けてほしかった」「なんで誘ったのか」とフジの社員を責める声も。堂本ブラザーズ…のライブ会場でも「連れ出したのはフジの人なのに」と話し合う女性ファンの姿がみられた。

テレビ等への影響

 謹慎処分の少年は関テレで、ドラマ「がんばっていきまっしょい」(火曜後10・00)とバラエティー番組「ほんじゃに!」(水曜深夜0・35)のレギュラーを抱えていた。同局は、両番組とも今後の放送分に関して出演させない方針だ。

 ドラマは今月から始まったばかり。19日放送の第3話は既に収録済みのため、編集し直して、少年の出演シーンを削る。重要な役柄を演じてきたため、わずか2話での降板は大きな痛手だ。

 NHKは、NEWS全員が出演、衛星第2で17日午後6時から放送予定だった「ザ少年倶楽部」の放送を取りやめる。昨年11月21日に放送した同番組に差し替えることで対処した。

 他局は「週明けに対応したい」としている。

 影響はテレビ番組だけではない。

 NEWSは、東京・品川で開幕するエンターテインメントショー「サマリー」の開幕が26日に迫っている。少年のパートをどう穴埋めするか、急ピッチで構成の変更を余儀なくされている。

 また、ジャニーズ事務所の7グループが出演する「ジャニーズ・フィルムフェスタ2005」は25日から東京グローブ座でスタート予定。関係者は「(少年の)出演シーンをどうするかなど、早急に対応しなければならない」と、慌ただしく語った。

 様々な影響がでているが、とくにドラマ「がんばっていきまっしょい」への影響は大きいだろう。まだ物語にそれほど絡んでいない段階だったのがせめてもの救いだ。また、コマーシャルに出ていなかったのも不幸中の幸いだった。

匿名報道の必然性

 どの媒体を見ても、みな匿名報道である。なぜだろうか。未成年とはいえ、逮捕されたわけでもないのだから、匿名にする必要があるとは思えない。記事を読めば、誰のことを言っているかは明確なのだから、実名でかまわないだろう。
 実名を明かさないまま、無期謹慎をするという発表をしたというのは、どう考えてもおかしい。謹慎をする人間が誰であるのかわからなくては、謹慎する意味がないのではないか。謹慎というのは、自分が犯した罪をつぐない、反省するために行うものである。反省する人間が自分のことを明かさないというのは不自然だ。
 ジャニーズ事務所の意向なのか、それとも、メディア側の自主規制なのか、どちらなのかは定かでないが、どちらにせよ、意識の低さがうかがえる。本当に厳しい処分をするつもりなら、実名を公表して当然なのではないだろうか。この処分がパフォーマンスであることの表れではないかと思う。

最後に

 この、内博貴謹慎の一件については、注目度も高く、さまざまなところで取り上げられている。これを期に、タレント(特に若いタレント)を適切に育成・管理するという意識が高まればよいのだが、今までに起きた同様の事件を考えてみても、なかなかそうはならないようだ。復帰してしまえば、何事なかったかのように元通りになるのだろう。
 今回は、内自身よりも、同席した大人の方に問題があったのだから、謹慎とはいえ、多忙な中に生まれた休息期間をゆっくりと過ごして、元気に復帰してもらいたいものだ。