「NEWS」活動休止のメリット

 KAT-TUNのCDデビューについて何か書こうかと思っていたら、NEWSの活動休止が発表されてしまった。触れないわけにはいけないので、KAT-TUNに関してはまた今度。

 未成年メンバー(17)の飲酒疑惑が報じられた人気グループNEWSについて、所属事務所「ジャニーズ事務所」は3日、グループとしての活動を5月以降、休止させることを発表した。3、4月に予定されている全国ツアーおよびCDの発売については、中止とした場合に「準備が進んでおり、関係各位に迷惑をかける」とし、残る6人のメンバーで行うが、ツアー終了後には年内の活動停止に入る。なお、当該の未成年メンバーについては「年内に限らず当分の間、芸能活動を自粛する」とした。

 “連帯責任”でグループとしての活動にケジメをつけた。ジャニーズ事務所はFAXで「各位をはじめファンの皆様方に多大なご迷惑をおかけした。今回の事態を重く受け止め、年内のNEWSとしての活動を休止とさせていただく」と発表した。

 一部でうわさされたグループの解散について事務所は、「ない。あくまでも活動休止」と説明。また、未成年メンバーのグループ脱退についても否定した。

 (以下略)

 NEWSとしては5月以降年内活動休止、今回問題を起こした草野は「当分の間」活動自粛ということらしい。ファンにとっては残念かもしれないが、事務所にとっては最良の措置だろう。
 ということで、活動休止という措置の事務所にとってのメリットをみていこうと思うが、その前に、ジャニーズ事務所の公式サイト「Johnnys net」に掲載された文章を引用しておく。

今後の NEWS の活動について

 平成18年2月3日

 NEWS の未成年メンバーの未成年者飲酒等を内容とする報道に関しましては、現在も、事実関係を鋭意調査中ですが、ここに今後の NEWS の他のメンバーの活動について、ご報告いたします。

 NEWS につきましては、今回、各位をはじめファンの皆様方に多大なご迷惑をおかけしたことから、3月に予定されておりますツアーの催行、およびCDの発売については、その中止を含め慎重に検討させていただきました。 その結果、同ツアー、およびCDの発売につきましては、すでに準備が進んでおり、中止とした場合、関係各位にさらにご迷惑をおかけしてしまうことや多くのファンの方のご希望もあることから、いずれも予定どおり行なうことと決定いたしました。 もちろん、今回の未成年メンバーにつきましては、すでにお伝えのとおり、当分の間芸能活動を自粛いたしますので、いずれについても同人は参加せず、6人のメンバーで行うこととさせていただきます。

 そして、今回の事態を重く受け止め、上記ツアー終了後、年内の NEWS としての活動を休止とさせていただく予定です。

 関係各位、およびファンの皆様には、改めて多大なご迷惑をおかけしたことを深くお詫びするとともにご報告申し上げます。

メリット1 飲酒疑惑報道の幕引き

 何と言っても、これが一番大きなメリットである。活動休止というインパクトの強い処分をすることによって、飲酒疑惑に関してはうやむやなまま終わらせることができるだろう。「鋭意調査中」などと言っているが、ビデオを手に入れれば良いだけなのだから、それを持っている出版社などに頭を下げればそれで済むではないか。それをしないのは、調査などするつもりがないからとしか考えられない。
 結局、飲酒の有無に関しては明らかにしないまま、なんとか幕を引いてしまおうということなのだろう。さらには、その先にある「破廉恥プレイ」に関しても黙殺するに違いない。
 NEWSが活動休止となれば、たとえ今回の飲酒騒動の調査結果を発表したとしても、マスコミも取り上げる必要性は低くなる(そういう言い訳ができる)。結果として、報道されない(というか、その前に調査結果を発表しないだろうけど)。素晴らしい隠蔽工作ではないか。

メリット2 山下智久ソロ活動重視へ

 NEWSの中で事務所にとって重要なメンバーは、山下智久錦戸亮内博貴(活動休止中)の3人であろう。だが、後者2人は関ジャニ∞のメンバーでもあるので、実質NEWSは山下智久をバックアップするためのグループと見ることもできる。
 もともと、山下はソロ活動ができるだけの人気があるので、事務所としても、ソロ活動に力を入れたいという気持ちはあっただろう。今回の活動休止で、ソロ活動重視の理由付けができたわけだから、可能性としては、山下智久ソロCD発売なども考えられる。修二と彰も売れたことだし、このタイミングでのソロデビューは悪くない。
 実際にソロデビューするかどうかは分からないが、ドラマ以外のソロ活動も行う可能性は高いだろう。

メリット3 KAT-TUNを前面に

 KAT-TUNのCDデビュー発表直後のこの一件。少しでも波紋を小さくするための手段として、事前にデビューを発表したのではないかと勘ぐられても仕方がないような絶妙のタイミングである。
 NEWS活動休止で最も恩恵を受けるのはKAT-TUNなのではないだろうか。すでにジャニーズ事務所KAT-TUNシフト的な体制は見られていたが、その傾向はより一層強まるだろう。NEWSがレギュラーで出演するテレビ番組はないが、KAT-TUNには「歌笑HOTHIT10」があるし、以前には「KAT-TUN×3」という冠番組も放送されている。デビューとなれば、新しいレギュラーを持つ可能性もある。
 活動休止によってNEWSのファンが、KAT-TUNへと移行するかもしれない。順風満帆なデビューを後押しする強い風になるのではないだろうか。

メリット4 そしてYa-Ya-yah

 KAT-TUNの後に控えているYa-Ya-yahにとっても、NEWSの活動休止は追い風になるのではないだろうか。本格的なデビューはまだだとしても(CDデビューはしているけど)、「少年倶楽部」でメインになる可能性はある。当然、KAT-TUN関ジャニ∞が中心になるだろうが、彼らが他の仕事の関係で出演できないとなれば、Ya-Ya-yahに回ってくるかもしれない。
 そもそも、Ya-Ya-yah冠番組Ya-Ya-yah」を持っているわけだが、そのYa-Ya-yahの番組に、NEWSのメンバー数名がレギュラーとして出演しているというのは、何となく転倒しているような気もする。それを考えると、すでにNEWSのポジションというのは微妙なのではないだろうか。そして、さらに微妙なポジションになっていくのではないだろうか。

メリット5 NEWS活動再開という一大イベント

 今回の報道によれば、来年早々にNEWSは活動を再開するようだ。これは、一つの大きなイベントになりうるだろう。
 となれば、当然それを売りにして、セールスを上げることを目指すのではないか。ファンにとっては一年ぶりぐらいの新曲になるわけだし、メディアも大々的に取り上げ(取り上げさせられ)、デビュー時同様の売り出しをするかもしれない。
 「一年間の活動休止を乗り切って」というようなキャッチコピーと、大学進学率の高さをもって、「いろいろ苦労したけど、しっかりとがんばっている真面目なグループ」的な印象を強め、新たなファンを獲得する。事務所関係者の頭の中にはそんなシナリオが渦巻いているのではないだろうか。

メリット6 内博貴復帰のタイミング

 内博貴はいつ復帰するのか。NEWSか関ジャニ∞のどちらかの活動の中で復帰するということになるだろう。
 NEWSの方から復帰するとなれば、NEWS自体の活動再開と同時に復帰という相乗効果が得られるタイミングになるだろう。同時復帰であれば、飲酒問題に触れられるのも一度で済むし、ファンからすればイベント感が高まることだろう。
 一方、関ジャニ∞から復帰する場合も考えられる。関ジャニ∞は、NEWSほどには一般に認知されていないので、かつての飲酒問題についてもあまり大きく取り上げられないままに復帰できるだろう。その復帰時にNEWSが活動休止していれば、より一層彼の復帰の話題性は低くなる。いつのまにか復帰、というベストな状況になるのではないだろうか。

メリット7 ジャニーズ事務所の責任回避

 私の基本的なスタンスは「事務所憎んでタレント憎まず」である。もちろん、タレントにも問題はあるだろう。しかし、特に若いタレントを扱うプロダクションというのは、彼らの教育や管理を徹底しなくてはいけない。だが、ジャニーズ事務所はその部分が大きく欠けているように思う。問題が起これば、全てタレントの責任として、事務所としてはなんのお詫びもしない。それは、今回も同様である。

 (前略)

 同グループについては、別の未成年メンバーが昨年、フジテレビの女性アナウンサーと飲酒した後に補導され、無期謹慎中。事務所では、「同じグループで二度も同じようなことが起こり、責任は重大」として、活動休止を決めた。

 (後略)

 「責任は重大」なのは、NEWSではなく、ジャニーズ事務所ではないのか。会社の社員が不祥事を起こしたら、その社員が悪かったですで終わらせられるだろうか。状況にもよるが、普通は、会社としての謝罪が行われ、代表者などが辞任する場合だってある。NEWSのメンバーの不祥事に対して責任を負うべきなのは、他のメンバーではなく、事務所であり、さらにその代表者、すなわち、ジャニー喜多川(喜多川擴)なのではないか。
 確かに、上で引用した、ジャニーズ側の発表の最後にはお詫びの言葉も述べられている。しかし、それは決まり文句のようなものでしかない。結局は、NEWSに責任を押し付けているのである。
 このような考え方が事務所の上層部にある限り、NEWSのメンバーは減り続けるかもしれない。本当にファンやタレントのことを大事だと考えているのなら、もっと違う対応ができるのではないだろうか。いいかげんに反省してもらいたいものである。