『新装版 虚無への供物(上)』中井英夫

(勝手に10段階評価。4が標準、10が最高)

 推理小説の墓碑銘とまで言われた名著。
 感想を書くことさえも気が引けるほどの大著だが、簡単に書いておく。とにかく疲れた。これでもかという推理合戦と、その推理の崩壊の連続で目が回る。登場人物たちの語り口は読みやすいのだが、そこで扱われている内容のどれもが重厚で、気を抜いて読んでいるとすぐに置き去りにされてしまう感じだ。
 上巻でこれだけのボリュームということは、下巻を読むのにも時間がかかりそうだ。作中で起きている事件の真相は明かされるのだろうか。そもそも、それは事件なのだろうか。