第8話「バイバイ次郎」

 風の丘ホームは閉園し、園児はもちろんのこと、保育士達も離散することとなった。一話まるごと別れのシーンに徹した今回は、まるで最終回であるかのような雰囲気であった。いや、もしかすると、本当に最終回であった方がよかったのかもしれない。
 終盤、金村俊太(小室優太)が、いつ会えるのかという質問に答えない次郎(木村拓哉)をどこまでも追いかけるシーンがあった。園児だけではなく、保育士、そしてもちろん次郎や園長(原田芳雄)も、この別れが永遠のものとなる可能性に気付いていたことだろう。だからこそ、次にいつ会えるのかという問いを発することを避け、また、その問いに答えることを避けたのである。
 だが、俊太の行動により、次郎はその問いに真っ向から立ち向かうこととなり、結果、今回の離散を取り消すために立ち上がった。次回以降、次郎や朋美(小雪)の活躍によって、風の丘ホームの「家族」たちが元に戻れる方向に物語は進んでゆくのだろうと予想できる。
 ということで、次回以降の流れは、もうすでに見えてしまっている気がする。最終的には、うまく元通りになり、ハッピーエンドということなのではないだろうか。そんな予想が出来てしまうから、今回が最終回であった方がよかったのではないかと思うのである。
 ホーム閉園による離散という結末は、もちろんハッピーエンドとはいえない、しかしバッドエンドというわけでもないだろう。だから、離散のまま終わるというのは、ありきたりな終わり方でもなく、かといって、納得できない終わり方でもない。なんでもかんでもハッピーエンドに持っていきたがるドラマが多い中で、このような結末ならば、新鮮であったのではないだろうか。
 というのは、一つの個人的な考え方であり、一般的ではないかもしれない。それに、実際には、予想通りのハッピーエンドになるかも分からないわけだから、最後まで見守っていたいと思う。多少なりとも新鮮な結末を期待しながら。