戦国自衛隊1549

戦国自衛隊1549 DTS特別装備版 (初回限定生産)
角川エンタテインメント (2005/12/22)
発売予定日は2005/12/22です。
ただいま予約受付中です。
監督:手塚昌明
原作:福井晴敏戦国自衛隊1549
原案:半村良戦国自衛隊
出演:江口洋介鈴木京香鹿賀丈史北村一輝綾瀬はるか、ほか
2005年、東宝角川映画)、116分
1979年公開の「戦国自衛隊」のリメイク(DVD

 陸上自衛隊東富士駐屯地で、人工磁場発生器の極秘実験中に暴走事故が発生した。それにより、的場一佐(鹿賀丈史)率いる実験中隊が、460年前の戦国時代へタイムスリップしてしまう。かつて的場の部下だった鹿島(江口洋介)は、神崎(鈴木京香)からその真相を聞かされ、救出作戦に同行することとなった。だが、鹿島たちが1549年の地で見たものは……。
 原作・原案や、過去の映画も観ていないが、思ったより地味だった。前半は、タイムスリップに関する理屈を並べ立てすぎていて、面白くない。タイムスリップの原因やそれによって引き起こされる問題を理論的に説明すればするほど、逆に疑問が浮かび上がってくるし、違和感を抱いてしまう。タイムスリップに関しては、簡単に説明するぐらいでいいのではないかと思う。
(ネタバレの可能性あり)
 たとえば、的場は戦国時代から日本を作りかえるために、富士山を噴火させて、付近を焼き尽くそうとするのだが、それによって、自分の祖先が死んだとしたら、的場自身が消滅するのではないか。また、鹿島たちは歴史を元に戻すように尽力するのだが、触れ合った人々の記憶を完全に消去しない限り、自分たちが関わったことが残ってしまい、歴史が変わることは避けられないだろう。あるいは、鹿島たちは的場の配下になった武将たちを殺すが、本来の歴史と違う人間を一人殺した時点で、現代人の何人かは消滅する可能性があるし、本来死ぬべき人が生き残ったら、そのことだけで、現代は完全に消滅して、新しい現代が発生するのではないか。それに、そもそも、戦国時代に行った後、一定時間後に現代に戻るというのも理解できない。
 というように、タイムスリップに関して論理的に考えるなら、次から次に疑問が生じる。だから、その部分はあまり触れず、曖昧なままにしておいた得策なのではないかと思うのだ。一応断っておくが、本作がタイムスリップに関する矛盾を含んでいるから良くないということではなく、矛盾が生じるのは当然だから、あまり気にさせないようなストーリー展開にした方が良いのではないかということである。
(ネタバレここまで)
 この映画の魅力は、自衛隊と戦国時代の武士が戦うというハチャメチャなアクションだろうから、理屈はほどほどに、とにかく、ドンパチやってくれれば十分だと思う。武士が戦車に立ち向かってくるようなシーンが少ないので、せっかくの素材がもったいない気がした。
 自衛隊の協力を得ているため、あまり派手に戦闘シーンを登場させてはいけないのだろうか。それなら仕方ないかもしれないが、もっと派手なアクションを期待していたので、少し残念だった。
 だが、笑いの要素も多分に含まれているし、人物設定などもよく考えられているようだし、大掛かりなセットや兵器も迫力があるので、面白い。逆に言えば、それだけに、理屈っぽくなってしまったのがもったいなく感じる。