「anego」映画化は吉と出るか

 少し前になるが、「新・視聴率女王」篠原涼子についての記事の中で、2005年春期に日テレ系で放送された連続ドラマ「anego〜アネゴ〜」の映画化が予定されていると書かれていた。

 テレビ界に「新・視聴率女王」が誕生した。春ドラマ「anego〜アネゴ〜」(日本テレビ)に主演した篠原涼子だ。平均視聴率15.6%、最終回17.5%は、仰天するほどの数字ではないが、関係者は篠原の「安定感」に注目している。篠原が出演する連ドラは確実に平均視聴率15〜17%近くをゲットしているのだ。

(中略)

 「新・視聴率女王」の登場に最も素早く反応したのはフジテレビ。篠原がレギュラーを務めた「アットホーム・ダッド」やバラエティー番組「グータン」のスタッフを中心に篠原を主役に据えたドラマの制作が進行中で、早ければ今秋、遅くても来春の“月9”の主役に抜擢されるといわれている。相手役には、篠原の希望で「新選組!」(NHK)の土方歳三役で注目された山本耕史、脚本には井上由美子の名前が挙がっている。

 もちろん、フジに続きTBS、テレ朝も動いているが、驚くのは映画界も敏感に反応していること。まずは評判の良かったドラマ「anego」の映画化がこの夏に日テレ・東宝の製作で発表される予定という。テレビ関係者には「入籍間近」といわれる市村正親とのゴシップも眼中にないようだ。

 篠原涼子は、東京パフォーマンスドールの初代メンバーとしてデビュー。「ダウンタウンのごっつええ感じ」などに出演し知名度を上げた。小室哲也プロデュースによる「恋しさとせつなさと心強さと」が大ヒットし、歌手としても活躍。現在では、演技派女優として、不動の地位を築きあげている。凋落してしまった小室哲也は、彼女を手放したことをさぞ後悔していることだろう。
 彼女は演技力がピカイチというわけではないが、コメディーからシリアスまで安定した演技をしている。個人的にはコメディーに向いているように思うが、いろいろな役柄に挑戦することは良いことだろう。江角マキコがいなくなった今、自立した女性の役は、篠原涼子天海祐希の専売特許のようだ。江角とは違い、二人とも確実な演技力があるので、今後の活躍も期待できる。
 そんな篠原が主演したドラマ「anego」は、自分のことより周りの人間のことを第一に考えてしまう、anegoこと野田奈央子(篠原涼子)が周囲で起こるトラブルに振り回されながら、自分の進む道を見つけてゆくという物語。その過程において、新入社員で10歳年下の黒沢明彦(赤西仁)と恋愛関係になり、ついには結婚というところまでたどり着いたものの、彼のモンゴル転勤と、奈央子の心境の変化により、その話は中座してしまった。
 映画化となれば、ドラマの中で大きなウェイトを占めていた、奈央子の友人である沢木夫妻の出番は減り、奈央子と黒沢を中心にしたものになるのだろう。このドラマの一番の魅力は、奈央子と黒沢の掛け合いにあったので、もしそれを外すのだとしたらあまり期待できない。
 ただ、どちらにしても映画化するにはスケールが小さいので、余程うまく処理しないと、いくら安定した力を持つ篠原と、人気絶好調の赤西仁を出演させたとしても、成功しないだろう。もし、ドラマの延長がそのまま映画化されたとしても、私は劇場まで見に行きたいとは思わない。奈央子は、所属していた東済商事を退職し、新しい職場に移っているので、新たな展開があるのかもしれないが、映画館で観ようと思うほどの魅力を創り出せるかは疑問である。
 赤西が中心になるのであれば、多くのファンが見に行くだろう。だが、どんな映画になるのかは、とりあえず夏の発表を待つしかない。実際に映画化されるかはまだ明確ではないが、果たしてどうなるのだろうか。せっかく育った「新・視聴率女王」篠原涼子と、発展途上の有望なアイドル赤西仁の名を汚すような映画にならないことを祈る。