赤西仁熱愛報道にみるKAT-TUNの今後

前回の記事の補足

 本題に行く前に、「KAT-TUN赤西仁と上原多香子の熱愛報道を考える」の補足を少し。
 私が書いた文章の中では、ジャニーズのリークである可能性が高いということを書いたが、なぜリークしたかについてはあまり丁寧に考えていなかった。赤西&上原のカップルを別れさせ、赤西にお灸を据えるのが目的ではないかと書いたものの、他の理由も考えられるので、一応書いておこう(以下、ジャニーズのリークであるということを前提にしている)。
 まず、赤西と他の女性との交際の噂を消す目的が考えられる。以前、赤西&亀梨がともに蒼井そらと交際している(いた)という噂が流れたが、これはすでに蒼井自身によって否定されている(彼女のブログ参照)。なので、この理由はあまり考えられないように思う。
 次に、何かジャニーズがらみのスキャンダルが存在し、それを隠蔽するためのバーターとして今回の報道が行われたという可能性もある。この可能性に関しては、否定も肯定も出来ない。ただ、今回の『FRIDAY』の記事はジャニーズ寄りである印象を受けたので、バーターとして成立していたのか、という疑問はある(とはいえ、人気の高い赤西のスキャンダルなので、たとえジャニーズの意向を汲んでいても、講談社側にとってプラス面はあるだろう)。
 とりあえず、考えられるのはこのぐらいだろうか。はっきりとしたことは分からないが、バーターであったとしても、赤西にお灸を据えるという目的は存在しているような気がする。その理由については、以下の本題で。

KAT-TUNの今

 さて、ここからが本題である。先日書いた「KAT-TUN赤西仁と上原多香子の熱愛報道を考える」はファンの方にも意外と好意的に受け取られたようで、いくつかのブログや掲示板などでご紹介いただいた。嬉しいことである。
 それはともかく、それらのブログや掲示板を含め、複数のファンの方の考えを見てみたのだが、それらを読んでいて考えたことがあるので、書いておこうと思う。
 ファンの方の意見の中で散見されたのは、「最近の赤西くんは手を抜いている」というような内容であった。ファンというのは、盲目的であるようでいて意外と厳しい目をもっている。それは、これからも活躍してほしいという願いもあるし、長期間見ているだけに、その変化に気付きやすいということもあるだろう。
 とはいえ、ファンであれば、ある程度は目をつむるということも多いと思う。厳しいながらも、一方で寛大な面もあるわけだが、そういうファンからの苦言が出るということは、目に余るものなのだろう。
 一方で、亀梨和也に対してはしっかりとがんばっているという意見が多いようであった。残りのメンバーについても、ドラマなどで大きくクローズアップされるということはあまりないが、地道にがんばっているようである。だからこそ、赤西の行動が目に付くのだろう。それにしても、デビュー前から昔の方が良かったと言われてしまうのは問題である。

タレントと人気

 タレントの人気というのは、そのタレント自身の魅力によるものである。それは確かにそうだ。だが、それだけではない。特に、初期の段階では、タレント自身の魅力以上に、事務所の力や、ドラマで演じた役、あるいは持ち歌などのように外因的なものによる場合が多い。
 特にジャニーズのタレント場合、ジャニーズ事務所自体が圧倒的なブランド力を持っているため、外因的な要素が強いと言える。ジャニーズからデビューしていれば売れただろうに、というタレントがいることも事実だ。だがそれは仕方のないことなので、ここでとやかく言うつもりはない。
 問題なのは、人気の出はじめたタレントが、その人気を完全に自分の魅力によるものだと勘違いしてしまう場合である。もちろん、タレント自身の魅力もあるのだが、それ以外の要素もあるということをタレント自身が見失ってしまうと、何らかの問題を起こす場合がある。
 たとえば、ホリプロ大森玲子アップフロントエージェンシーのユウキ(EE JUMP)、そしてジャニーズで言えば森寛貴(NEWS)らである。彼らは自身の人気が100%自分に起因していると勘違いしてしまった結果、問題を起こし、場合によっては芸能界からの引退を余儀なくされた。
 そしてジャニーズには、このような問題を起こすタレント(「勘違いタレント」とでも呼ぼう)が多い。もちろん、所属タレントの絶対数も多いし、その年齢が低く、また年齢が低い内から第一線で衆目を浴びるという理由もあるだろう。しかし、事務所のタレント育成に問題があるとも言えるのではないだろうか。ここでは、この問題について取り上げるのが目的でないので、これ以上は書かないが、「勘違いタレント」を生み出さないような努力をしてほしいものだ。
 さて、話を戻そう。初期の段階でのタレントの人気というのは、言ってみれば「虚飾の人気」である。それを「本当の人気」に変えることができるかどうかは、そのタレント自身にかかっている。ここで「本当の人気」へと辿りつけたタレントが生き残れるのである(いつまで生き残れるかはまた別の問題)。
 KAT-TUNも人気があるとはいえ、まだ「虚飾の人気」の段階であろう。すなわち、今がもっとも大事な時期であり、また転換期でもある。ここにおいて、おそらく赤西は「虚飾の人気」を「本当の人気」と勘違いしているのではないだろうか。そのため、手抜きのようなことをしてしまったのではないだろうか。

KAT-TUNの今後

 KAT-TUNKAT-TUNとしてデビューするためには、各メンバーが自身、自分の人気が「虚飾の人気」であるということに気付き、仕事に対して真摯な態度で臨まなくてはならない。「虚飾の人気」に溺れることなく、華々しい活動の裏で地道な努力を続けていけば、必ず「本当の人気」を勝ち取ることができるだろう。
 KAT-TUNに対しては、周囲の(特に事務所の)期待が大きいだけに、プレッシャーも大きいだろうし、特別扱いされているという面もあるのかもしれない。そのため、自分たちの人気を過大評価してしまうのも仕方ないだろうし、事実、彼ら自身の魅力は非常に高い。
 だが、彼らがいかに魅力的であっても、また、いくら事務所の力が強いとはいっても、それだけでいつまでも人気を保てるほど芸能界は甘くない。次から次に新しいタレントが生まれてくる現在の芸能界の中で、安定した人気を得るためには、常に進歩していなくてはいけない。
 そのためには影での努力も必要だろう。もちろん仕事をきちんとやることは当然のことであるし、プライベートを制限されることもあるだろう。そのようなことを受け入れられないのであれば、いくら魅力があろうとも風当たりが強くなる。魅力があるからこそ、せっかくのその魅力を失わないために努力してほしい。
 赤西をはじめKAT-TUNのメンバー、さらにはジャニーズのタレントには今回の報道を機に、仕事というものをもう一度考えなおしてほしい。初心忘れるべからずというが、仕事に対してかつてのように(「お客様は神サマー」の頃は良かったという意見があった)真剣に向かうことが出来た時こそ、KAT-TUN躍進の時であり、デビューの時になるに違いない。大きな転換期にある今、彼らがどう考え、どう行動するかによって、今後の展開は大きく変わる可能性がある。彼らにとっても、またファンにとっても良い展開になるようにがんばってほしい。

KAT-TUN赤西仁と上原多香子の熱愛報道を考える

 本日11日発売の写真週刊誌『FRIDAY』にKAT-TUN赤西仁上原多香子のデート写真が掲載された。ということなので、2日続けて書いたジャニーズのWeb戦略に関する記事は一休みして、この件について見ていこうと思う。

 ジャニーズの人気グループ、KAT−TUN赤西仁(21)と、元SPEEDの上原多香子(22)のラブラブデートが11日発売の写真週刊誌「フライデー」で報じられている。巻頭5ページにわたって、上原が赤西の肩にほおをうずめる姿などが激写されている。

 同誌によると、赤西は10月下旬、上原が待つ東京・渋谷区内のレストランにスクーターで登場。4時間近く夕食デートを堪能した後、いったん別れたが、上原のマンションに再び赤西がスクーターで現れた。その翌日も、赤西が“愛の巣”を訪れたという。

 8月にも赤西のスクーターが、上原のマンションで目撃されており、交際は数カ月前からと思われるが、最近になって、2人が破局したとの説も浮上。赤西の所属事務所は「もうすでに別れたという報告を受けております」とコメント。果たして2人の愛の行方は!?

『FRIDAY』の記事を読む

 掲載されたのは、赤西と上原がレストランでの深夜デートを終えて別れる場面の写真と、顔を隠した赤西が上原のマンションを訪れた際の写真。特に前者は、二人が名残惜しそうに抱き合っている写真で、ファンにとっては衝撃的だったかもしれない。だが、ネット上でざっと調べた感じでは、意外と落ち着いているファンも多いようだった。以前から噂されていたためかもしれない。
 さて、ここで考えてみたいのは、この記事が本当のスクープなのか、あるいはどちらかの事務所の意を汲んだ記事なのかということである。
 それを考えるために、とりあえず、記事中に見られる宣伝ポイントをチェックしておこう。今回の記事中には、宣伝とみなせる内容が3つあった。
 赤西側の宣伝となるのは、「KAT-TUN Live 海賊帆」amazon.co.jpでチェックについてと、11/15から始まるバレーボール「ワールドグランドチャンピオンズカップ2005(以下グラチャン)」についてだ(「グラチャン」を盛り上げるために、KAT-TUNが応援プロデューサーに就任している)。ちなみに、この2点以外に「ごくせん2005」amazon.co.jpでチェックについても触れているが、先日発売されたDVD-BOXに関する記述はないので、宣伝とはいえないだろう。
 一方、上原側にでは、11/03から11/27まで上演される舞台「リトルショップ・オブ・ホラーズ」について触れられている。これ以外には、宣伝といえそうなものは見当たらない。
 宣伝目的であるとすれば、「グラチャン」か「リトルショップ・オブ・ホラーズ」ということになるだろう。

スポーツ紙の記事を読む

 続いて、『FRIDAY』の記事に対する各スポーツ紙の扱いを見ていこう。
 すでに、中日スポーツの記事を引用したが、どのスポーツ紙もほとんど同内容である。ただ、中日・日刊・報知の3紙がジャニーズ側のコメントしか載せていないのに対し、スポニチ・サンスポ・ZAKZAK夕刊フジ)の3紙は上原の所属事務所であるヴィジョンファクトリーのコメントも掲載している。

 同誌によると、2人は10月下旬の深夜、都内のレストランで食事。別れ際に抱き合うなど、仲むつまじいしぐさを見せたという。上原の自宅マンションを赤西が訪れた際の様子も報じられている。赤西の所属事務所は「既にお別れしたと聞いている」と説明。上原の事務所は「もともと交際している事実はないと認識している」とした。

 ジャニーズの6人組グループ「KAT−TUN」の赤西仁(21)と元SPEEDの上原多香子(22)=写真=のお忍びデートを、11日発売の週刊誌「フライデー」が報じている。しかし、双方の所属事務所は“破局”を強調し、即攻の火消しだ。

 同誌には、2人が先月下旬の深夜、都内の中華料理店で食事を済ませ店の外で体を寄せ合う姿が激写された。

 しかし、複数のスポーツ紙は「すでに2人は別れたとの報告を受けています」(赤西の所属事務所)、「ノーコメント」(上原の事務所)などと、火消しに躍起のようすを伝えた。

 スポニチは上記のようにヴィジョン側の「もともと交際している事実はないと認識している」というコメントを掲載しているが、サンスポ・ZAKZAKはノーコメントであると報じている。

スポーツ紙の報道はどこから?

 各紙の記事においてジャニーズ側のコメントが中心になっているのを見ても、スポーツ紙がいかにジャニーズ寄りかが分かるが、それは今に始まったことではないので、今回はそれほど重要ではない。
 ここで考えておきたいのは、これらの破局報道は『FRIDAY』のスクープによる影響を抑えるためのジャニーズ側の策なのか、それとも、『FRIDAY』の記事自体がすでにジャニーズ側のリークなのかという点だ。なお、スポーツ紙の記事がヴィジョン側の策という可能性もあるが、6紙中3紙がヴィジョン側のコメントを掲載していない点および、残りのうちの2紙が「ノーコメント」としている点から考えて、その可能性は低いと思う。

ジャニーズのリーク?

 上に書いた疑問の答えについては、私の憶測なってしまうが、どうも、今回の一件は完全にジャニーズが仕組んだものであるような気がするのだ。そう思う理由と、ではなぜジャニーズがリークしたかについて書いておく。
 まず、「グラチャン」開幕の直前という絶妙なタイミングである点から、その宣伝目的であったと考えられる。だが、これはそれほど大きな理由ではない。すでに、このようなスクープを掲載させるという考えがあって、ちょうど宣伝になるタイミングが来たので、掲載させたという感じではないだろうか。
 では、このようなスクープをリークした最も大きな理由は何かというと、それは赤西と上原を別れさせることである。以前より交際を続けていた二人を別れさせるために、ジャニーズが仕組んだのではないだろうか。赤西に灸を据えるとともに、ファンに対しては別れたことをアピールする。これが真の目的であるように思えるのだ。
 繰り返しになるが、スポーツ紙に掲載された双方の事務所のコメントをみると、ヴィジョン側には焦りが見える。抱き合っている写真が掲載されているのに、「もともと交際している事実はないと認識している」とは何とも白々しい。また、「ノーコメント」というのも交際報道の火消しには何の役にも立たない。これらのコメントから察するに、ヴィジョン側は事前に二人の交際に気付いていなかったか、気付いていたとしても、スクープされるとは思っていなかったために、虚を衝かれてうろたえたのではないだろうか。
 一方のジャニーズ側は明解で、全てにおいて「すでに別れた」というコメントが掲載されている。もちろん、急遽コメントを考えたのかもしれない。しかし、当の『FRIDDAY』も「芸能プロ関係者」の言葉として、二人の破局をほのめかす内容を書いていることを考えると、はじめから、破局を伝えるための報道だったのではないかと思えるのである。

まとめ

 すでに述べたように、私は『FRIDAY』の交際報道に始まる一連の報道がジャニーズの意を汲んだもの(リーク)なのではないかと思う。その目的は、以前より交際を続けていた赤西と上原を別れさせ、赤西に反省を促すとともに、ファンに向けては交際を解消したことをアピールすることだと考えられる。さらに言えば、『FRIDAY』のトップ記事に扱われれば、タレントとしての箔が付くし、知名度も上がるだろう。
 この程度の報道で、赤西の人気が失速するとは思えない。芽は早いうちに摘めということで、デビュー前に芸能界の厳しさを身を持って実感させておこうという事務所の意志があったのではなかろうか。人気絶頂の今、あえてスキャンダルを報じさせることで、一番の稼ぎ頭となりうるKAT-TUNが、今後問題を起こさないように教育したのではなかろうか。
 タレントとしての自覚を持つことは大切だと思う。しかし、プライベートな部分に事務所がどこまで口を出すかというのは大変難しい問題だ。だから、良いとも悪いとも言えないが、ジャニーズ事務所はタレントのプライベートにまで強く干渉する事務所であるということはいえるだろう。それだけタレントの将来を考えていると見るべきか、それだけ金儲けに走っていると見るべきか。それは、人それぞれの見方によるとしか言えない。

(2005/11/12、一部修正しました)

※以上の記事は、各種報道を基にしたひとつの解釈です。真実であるという保障はありません。

ジャニーズ事務所の強硬的なWeb戦略はいつまで続くのか?(2)

 昨日の記事(2005/10/10「ジャニーズ事務所の強硬的なWeb戦略はいつまで続くのか?(1)」)では、これまでの状況と転換、その理由と現状についてまとめた。今日はタレント画像の扱いについて現状をもう少し細かく見ていきたいと思う。なお、昨日の段階では、全2回の予定であったが、都合により、全3回以上(回数未定)とする。

ジャニーズWeb戦略の現状
 〜タレント画像篇〈1〉昨日のおさらい〜

 昨日の記事でも、Webにおけるタレント画像の扱いについて触れた。まとめると、(1)タレントを直接撮影した写真画像は禁止(ただ一つの例外が「義経」)、(2)タレントが表紙を飾った雑誌の表紙画像も禁止(例外があるかもしれない、ご存知の方は教えてください)、(3)CD・DVDのジャケット画像は掲載可能(Amazon.co.jpでは可能らしいが、それ以外のサイトについては不明)、の3点である。
 (3)については、Amazon.co.jp以外に所属レコード会社のサイト内にある各タレントの公式サイトにも掲載されている場合が多い。ちなみに、「Johnny's Entertainment」のサイトでは、ジャケットではなくCDのレーベル面の画像(!)を掲載することで、間接的にタレントの写真が掲載されてしまうことを避けている(が、Amazon.co.jpには掲載されているものもある、記事末尾の画像参照)。

ジャニーズWeb戦略の現状
 〜タレント画像篇〈2〉イラスト?写真?〜

 すでに昨日述べたように、(2)と(3)の部分で矛盾を起こしているように思える。そして、Amazon.co.jpには掲載されている画像が公式サイトには掲載されないという部分も謎だ。この状況から読み取れるのは、ジャニーズのWeb戦略が行き当たりばったりである可能性が高いことだろう。強硬姿勢をどの程度軟化させてよいのか明確に決められていないのではなかろうか。あるいは逡巡しているのかもしれない。どちらにせよ、Web戦略に関しては甘い体制であることは否定できないだろう。
 それを体現するような面白い事例があるので、紹介しておく。
 「ITmedia +D モバイル」の記事、「今冬は「LOVE」で攻めるボーダフォン」(2005/10/11掲載)を見ていただきたい。内容は、先日行われたボーダフォンの記者会見のリポートである。その内容はともかくとして、見ていただきたいのは、記事中盤にある写真だ。そこには、ボーダフォンのイメージキャラクターであるV6の岡田准一が写っている。確かに写っているのだが、実際には彼の写真が印刷された特大パネルの写真なのだ。
 この写真について、記事を書いた杉浦正武記者が「ジャニーズをめぐるちょっとした騒動」というタイトルで裏話を書いている。読んでいただくと、ジャニーズの強硬姿勢が分かるだろう。
 ここで注目したいのは、パネルが掲載可能な理由についてだ。このパネルは写真でなく「スーパーイラスト」だから、Web上に公開可能だというというのだ。この説明はジャニーズの関係者ではなく、ボーダフォンの広報によるもののようなので、そのままジャニーズの考えであると断言することは出来ない。しかし、ボーダフォン側がわざわざそのような説明をしたということは、パネルの写真の掲載について事前にジャニーズ側との打ち合わせが行われていたと考えて良いと思う。
 確かに、あのパネルは画像処理によってイラスト化されている。だが、そのイラストは、普通のものではなく、「スーパーイラスト」(?)であり、かなり写真に近いものだ。こうなってくると、「スーパーイラスト」と写真の境界線が問題になる。写真と「スーパーイラスト」は何が違うというのだろう。写真に特殊な加工を施せば、ほとんど写真と同じでも掲載できるというのか(ちなみに、映画「ホールドアップダウン」の公式サイトに掲載されているV6の画像はやはりイラスト化されているようだが、かなりリアルだ)。
 そもそも、タレントの写真が使われているパネルの写真は掲載できないのだろうか。ボーダフォンの言葉から察すると、掲載できないということのようだが、そうなると、またCD等のジャケットとの矛盾が起こる。果たして、どのような基準で掲載の可、不可を決めているのだろう。
 写真に近いイラストの掲載が可能になっただけでも大きな進歩だが、なにか違う方向へ進歩してしまっているような気がする。

ジャニーズWeb戦略の現状
 〜タレント画像篇〈3〉顔を消せば…?〜

 さて、ここで少し話を変えよう。上記「昨日のおさらい」の(1)にタレントの写真は掲載不可だと書いた。これはかなり厳しいらしく、顔写真のみならず、体の一部でも掲載できない状況であったようだ(シルエットの写真でさえもダメだったという話もある)。
 そのために、ジャニーズタレントが出演したドラマの公式サイトでは、キャスト紹介のページなどでジャニーズタレントだけは代替画像となっている(多くの場合主演なのだからタチが悪い)。また、ニュースサイトでも絶対に写真は掲載されないし、時にはジャニーズタレントの移っている部分だけカットされていたりもする。
 だからこそ、「義経」の衝撃が大きかったわけだ。そして、もう一つ驚かされた画像がある。それは、先日日本テレビ系で放送されたドラマ「金田一少年の事件簿 吸血鬼伝説殺人事件」に関するものだ。このドラマはKAT-TUN亀梨和也が3代目金田一一役を演じるということで話題になった(このブログでも何度か取り上げている)。
 ここで見ていただきたいのは、この作品の原作者である天樹征丸のブログ、「天樹征丸日記」の記事である。「おはようございます」と題された2005/08/03付けの記事の中に、ドラマ撮影現場続報として、撮影現場の写真が掲載されている。
 その前の記事でも、撮影現場の写真は掲載されていたのだが、この写真とは決定的に違う。それまでは、人物が一切写っていなかった。しかし、この写真には、複数の人物が写っている。しかも、その中心にいるのは、亀梨和也上野樹里加藤雅也という3名の主要キャストではないか。
 小さな写真だし、顔にはモザイクがかけられている。とはいえ、シルエットの写真でもダメだという話さえあったぐらいに厳しいあのジャニーズのタレント画像が公然と掲載されているのだ。大変に稀有なことである。
 なお、モザイク処理は3名ともに施されているが、もし、この中にジャニーズタレントがいなかったならば、モザイクなしで掲載されていただろう。一般的なプロダクションは、この程度の写真であれば掲載許可を出すと思われる。亀梨の顔にモザイクをかけるついでに(違和感を無くすために)他の二人にもかけたということだと思う。
 モザイク付きであってもジャニーズタレントの画像が正式に掲載されるのはとても珍しい。画像掲載の許可を勝ち取ってくれた天樹征丸には大拍手を送りたい。
 それにしても、モザイクとは。しかも、事件を解決する側にモザイクである。警察や探偵にモザイクをかけるというのは、何とも面白い。公安と同様、犯罪者に顔を知られないためのモザイクだというのか。ジャニーズの強硬姿勢を逆手にとった、天樹征丸によるギャグのような気もする。だとしたら、恐るべし天樹征丸
 話を戻すが、同様の例として、「johnnys net」に掲載されているコンサートの画像(Flash)がある。こちらも姿が見えるだけで、顔は分からない。
 結局、顔が分からなければ掲載可能なのだろうか。それともこれらは例外なのだろうか。こうなってくると、何が良くて何が悪いのか全く分からない。完全禁止から前進したのは分かるが、掲載基準はどうなっているのだろう。ニュースサイトなどではモザイクをかけた画像さえも使われていないことを考えると、例外なのかもしれない(ニュースサイトでモザイクをかけると、それこそ犯罪者のようだ)。
 例外であるならば、なぜ例外なのか。「義経」もそうだが、例外ならその理由があるはずだ。しかし、適切な理由があるようには思えない。大河ドラマという広く認知されたレベルの高い作品に2年連続でジャニーズタレントを主演させてくれたのだから、例外にしても良いだろう、そんな理由だろうか。天樹征丸という一個人のブログだから、公式サイトほど多くの人が見るわけではないだろうし、小さな写真だから、例外として認めてあげよう、そういうことなのだろうか。
 これらの例を見ても、やはり行き当たりばったりという気がしてしまう。「義経」が良いなら、「野ブタ。をプロデュース」だって、「花より男子」だって良いだろう。あるいは、「johnnys net」のプロフィールページに載せたって良いだろう。大河ドラマの公式サイトは放送が終わると、次の年の大河ドラマのサイトへと入れ替わる。だから大河ドラマは許可したというのなら、他のドラマも放送中に限定すれば良い。
 結局のところ、明確なWeb戦略ができていないのだろうと思う。あるいは、遅ればせながらも試行段階なのかもしれない。だが、試行にしてはあまりに消極的である。他のプロダクションのWeb戦略とその結果を参考に研究してほしいものだ。

あとがき

 今回はとりあえず、タレントの画像の扱いについて現状をまとめてみた。タレント画像の扱いに関しては、ジャニーズの現在の考えを予想するための資料が少ないので(掲載不可を示す資料は大量にあるが、どの程度まで掲載を認めるようになったかが分かる資料がない)、憶測中心になってしまった。掲載可の方向へ動きつつはあるのかもしれないが、まだ見えてこないというのが現状だろう。
 次回は、公式サイトに関して見ていく予定である。公式サイトはそれ自体が資料であるので、憶測による部分は少なくなるだろうと思う。そして、今後のWeb戦略に関しても次回以降考えてみたい。
 情報提供、感想、反論などを楽しみにしているので、この記事をお読みになったら、一言でもコメントをいただけると嬉しい。皆さんの反応が記事を書く意欲になるので、よろしくお願いします。


ジャニーズ事務所の強硬的なWeb戦略はいつまで続くのか?(1)

 早速だが、NHK大河ドラマ「義経」のWebサイトを見ていただきたい。
 このサイトをはじめて見たとき、私はとても驚いた。義経役の滝沢秀明の画像が掲載されているからだ。ご存知の方も多いと思うが、ジャニーズ事務所は肖像権管理に厳しく、たとえテレビ局のサイトといえども、タレントの画像を使うことを許可してこなかった。それが、とうとう許可されたのである。フラッシュを利用したものではあるものの、今までの状況を考えれば、大変な進歩であろう。
 ジャニーズ事務所といえども、Web戦略において今までのような強硬姿勢を転換せざるを得ない状況に来ているのではないだろうか。ジャニーズ事務所のWeb戦略について、2回(回数未定)に分けて見ていきたいと思う。

頑なな強硬姿勢

 下記に挙げた『サイゾー』の記事はジャニーズ事務所の「超」強硬姿勢を批判的に扱った記事である。
「自社ホームページも当然ナシ!ジャニーズ様はネット上で拝顔不可能」(『サイゾー』2004年10月号掲載)
 この記事が掲載されたのは約一年前。この記事と比べて何か変化しただろうか。変化したとすれば、たった一つだけである。それは上述した「義経」の件だ。
 記事中にあるように、昨年の大河ドラマ新選組!」の公式サイトでは主演の香取慎吾の画像は掲載されなかった。だが、すでに冒頭で述べたように、NHK大河ドラマ「義経」の公式サイトでは主演の滝沢秀明の画像が掲載されたのである。
 ただし、これに関しては、例外である可能性が高い。現実に、他のドラマの公式サイトはいずれを見てもジャニーズのタレントの画像は一切掲載されていない。Wikipediaのジャニーズ事務所の項には、「義経」の公式サイトについて、「開設当初はシルエットで公開していたが、その後フラッシュによる顔写真に差し替えられ」たという記述があるので、NHKの担当者が東奔西走した結果なのであろう。今後、他のテレビ番組のサイトでジャニーズタレントの画像が掲載される可能性は低いように思う。
 つまり、めまぐるしいネット業界の変化にもかかわらず、ジャニーズ事務所はほとんど変わっていない。『週刊ザ・テレビジョン』『anan』も公式サイトを見れば分かるように、ジャニーズタレントが表紙を飾った場合は巧妙に加工され、タレントの写真が消されている。
 その一方で、CD・DVDのジャケットなどの画像は、以前より掲載されている(全てというわけではないが)。Amazon.co.jpを見ると、KAT-TUNのDVD2枚(「お客様は神サマー」「KAT-TUN Live 海賊帆」)などは顔写真が映っているものの、普通に掲載されている(なので、下部のような掲載は可能)。
 雑誌の表紙が不可で、CDやDVDは可である理由が分からない。Amazon.co.jpに掲載されている画像の方が、雑誌の表紙よりも大きく鮮明に写っているではないか。CD等は売り上げが事務所の収入に直結するからだろうか。それとも、出版社には高圧的な態度をとれても、流通業者には弱いのだろうか(ただ、単純に画像を掲載しないでほしいと言えば良いだけだろうから、この可能性は低い)。
 ちなみに、『サイゾー』の記事タイトルには「自社ホームページも当然ナシ!」とあるが、この記事が掲載された時点でもすでに公式サイトは開設されていたので、この部分は誤りである。
 その公式サイトだが、ジャニーズ事務所に関するサイトは3つある。Kinki KidsやNEWSらが所属するレコード会社「Johnny's Entertainment」(2003/12/05〜)、嵐が所属するほか「KAT-TUN Live 海賊帆」などのDVDや映画の制作も行っているレコード会社「J Storm」、そしてジャニーズタレントのファンクラブ組織「ジャニーズファミリークラブ」のサイト「johnnys net」(2003/12/05〜)だ。
 この他、携帯向け有料サイトの「Johnny's Web」(2003/05/14〜)もあり、所属タレントによる日記やエッセイなどの文章だけでなく、着信メロディ、着信ボイス、待ち受け画像などもあるそうだ。なお、登録していないので分からないが、紹介文をみる限り、画像というのはタレント自身の写真ではなく、タレントが書いたイラストやタレントが撮影した写真などのようである。

強硬姿勢の転換期

 これらの状況を見てみると、ジャニーズのWeb戦略は2003年を機に変化したようだ。そして、2005年になって初めて所属タレントの写真の掲載が許可された。今まで絶対に許可しなかったことを考えれば、たとえ例外であっても、進歩と言って良いだろう。この進歩、大きく言えば転換だが、その背景にあるのは、ネットビジネスの急激な進歩と、それに伴うコンテンツ産業の発展であると考えられる。
 現在、日本のコンテンツ産業自動車産業に次ぐ市場規模であるといわれている。ブロードバンドの普及により、流通の力が弱まり、コンテンツを生み出す側の力が強まってきた。数年前まで群雄割拠の様相を呈していたISP(プロバイダー)が次々と淘汰されていった現状からも分かる。ネット業界でさえも、コンテンツを生み出すことの出来ない企業は一掃される傾向にあるのだ。
 さらに、コンテンツ産業が力を持ってきたことを象徴するのは、吉本興業日本経団連入りであろう。それに次いで、ゲームメーカーのコーエーなども経団連に加入した。コンテンツ産業なくして、他の産業なしという認識が一般に広まった結果といえる。
 このような状況を、吉本興業と同様に巨大な芸能プロダクションであるジャニーズ事務所がいつまでも静観しているとは考えられない(もし静観しているとすれば、それは重大な判断ミスである)。コンテンツビジネスの中心がいつまでもテレビにあるとは限らない。
 テレビにとって変わるメディア、その最右翼はネットであろう。つまり、コンテンツの元となるタレントを多く抱えながらも、ネット展開に消極的な姿勢をとっていると、今後主流となるコンテンツビジネスに乗り遅れる可能性があるのだ。魅力的なソフトを所有しているとはいえ、それを出し惜しみしていると、他のプロダクションに市場を奪われてしまうかもしれない。
 テレビや雑誌などの既存メディアでは圧倒的なソフト力を持って流通側(テレビ局や出版社)に圧力をかけることは出来ても、ネット上ではそうはいかない。流通を通すことなく、各プロダクションが独自にコンテンツを配信できるのだから、その点では圧力をかけようがないのだ。ましてや、ジャニーズはすでに出遅れている(公式サイトでの動画公開やブログの活用など、すでに多くのプロダクションが行動を起こしている)。うかうかしていると、ネット上のコンテンツビジネスをそっくりさらわれてしまう可能性もある。
 また、ネット上のコンテンツビジネスは儲けが大きい。携帯電話向けの有料コンテンツなどは、タレントの日記を掲載するだけでも利益を得ることができる。また、タレントの画像や映像をネット上で配信し、対価をとるようなビジネスであれば、直接エンドユーザーと取引が行えるだけ、経費が少なくてすむだろう。
 これは、私の推測だが、おそらく、主に上記のような状況のもとで検討を重ねた結果、多少なりともWeb戦略を軟化させることになったのだろう。
 しかし、その戦略はまだまだ強硬といわざるを得ない。しかも、強硬であることにそれほど利益が見出せない。たしかに、画像や動画の公開による問題点もある。その一方で、利点もある。重要なのは、双方を天秤にかけて、どちらに傾くかではないだろうか。
 現に、多くのプロダクションやテレビ局、映画会社などが積極的なWeb戦略を展開している。それは、利点(利益)のほうが大きいと判断したからである。ジャニーズ事務所が問題点の方に固執するのも分かる。しかし、現状を見る限り、Web戦略について真剣に取り組んでいるとは思えない。ジャニーズショップが利益を上げているから、それを阻害する可能性のある画像公開等に二の足を踏んでいるだけなのではないか。一種の惰性で画像公開を避けているだけなのではないか。
 次回は、ジャニーズのWeb戦略の現状をもう少し詳細に見ながら、今後とるべき方向性、あるいは求められる方向性について、考えてみたいと思う。


「笑っていいとも!」タモリ降板?

 最近、「笑っていいとも!」を巡って様々な憶測が飛び交っている。2005/09/21の放送のテレホンショッキングでは、観覧者の男性がタモリ降板について、タモリに直接質問するという珍事も起きた(詳細はいいとも「観客発言事件」の真相(名無しの芸能観察記)が詳しい)。
 そんな中で、ゲンダイネットに以下のような記事が載ったのだが、真偽の程は分からない。とりあえず全文引用しておく。

 フジテレビの人気番組「笑っていいとも!」が23年目にして大幅なテコ入れをする。司会のタモリ(60)を降板させて番組タイトルも一新するというのだ。

「当初、後任に取り沙汰されていたSMAP中居正広はスケジュールの調整が難しい。そこで、曜日ごとに司会が代わるという番組企画案が俎上にのぼったが、タモリの強い推薦もあって明石家さんまが有力な候補に急浮上した。さんま自身もかなりノッている」(関係者)

 さんまを司会に据えた新番組は、来年4月からスタートするという。

「番組名は『さんまのお昼番長』という仮タイトルが付けられている。さんまのギャラだが、本人の希望もあって年間8000万円という格安料金でOKした」(制作関係者)

 さて、こうなるとタモリの今後が気になってくるが、それには日テレの「笑点」での司会起用が囁かれている。

脳梗塞で倒れた三遊亭円楽は72歳。他のレギュラー出演陣も平均年齢は63.5歳。日テレサイドはタモリの起用を機に出演者も一新したい考えだ」(編成関係者)

 現在、日テレサイドの動きには出演者も静観している。

「問題になることはまずない。円楽の前は故三波伸介が絶妙な回しで番組を盛り上げていた。むしろ落語関係者を司会に起用しない方が、大喜利に公平な判断ができる」(制作スタッフ)

 もっとも、この「笑点」リニューアルの時期は未定だという。

【2005年11月2日掲載】

 タモリからさんまへ、という流れがあたかも決定事項のように書かれているが、本当なのだろうか。だとしたら、少し寂しい。確かに、今の「笑っていいとも!」はテンポが悪く、あまり面白くない。レギュラーメンバーやコーナーの入れ替えが激しいところを見ても、制作者側の焦りが感じられる。
 しかし、そもそものタモリの持ち味は、あのユルさではないだろうか。お昼休みにゆったり見る番組としては、あまりうるさ過ぎるのは合わないと思う。明石屋さんまが司会になると、見ていて疲れそうだ。ゴールデンタイムならまだしも、お昼には似合わない。「ごきげんよう」にゲスト出演している際の様子を見ても、タモリの代わりとしては不適切であるような気がする。
 本当に「タモリの強い推薦」があったのなら仕方ないが、視聴者としては受け入れにくい。おそらく、「いいとも!」とは180度違った番組を目指すのだろう。「お昼番長」というぐらいだから、さんまがはしゃぎまくるのかもしれない。
 タモリファンとしては、「いいとも!」降板は寂しいが、タモリ本来の魅力が発揮されている番組というわけでもないので、これを機に「タモリ倶楽部」のようなタモリらしい番組が生み出されれば良いと思う。タモリ自身、毎日の生放送である「いいとも!」はキツイのかもしれない。「いいとも!」降板で自由な時間が出来ることで、多彩な芸に磨きがかかることを期待したい。そして、『タモリのTOKYO坂道美学入門』(講談社amazon.co.jpでチェックのようなマニアックで地味だけど内容の濃い魅力的な書籍も楽しみにしたい。

視聴中の昼&深夜ドラマの感想

 昨日、今期の連ドラの感想を書いたので、それに続いて他のドラマの感想も書いておく。昼&深夜ドラマで現在視聴中なのは「デザイナー」「アストロ球団」「ケータイ刑事銭形零(ファーストシリーズ)」「スターライト」の4作。

デザイナー

 一条ゆかり原作の同名コミックのドラマ化。
 現在視聴中のドラマの中ではこの作品が一番面白い。「野ブタ。をプロデュース」や「花より男子」も良いと思う。30分という枠の中で必ず大きな展開が起こるので、毎回惹き込まれてしまう。1時間の枠でもたいした展開がないドラマも多い中、非常に洗練された構成である。
 また、昼ドラとは思えないほどの豪華なキャストも良い。亜美役の松本莉緒も鳳麗香役の国生さゆりも気品に満ちた迫力があるし、もう一人の主要人物である結城朱鷺役の塩谷瞬も不思議な雰囲気の中に知性をつつみ込んだ様子が伝わってくる。
 亜美と麗香のデザイナーとしてのプライドがぶつかり合い、その中にまたありさ(国本綾)らのモデルとしてのプライドも絡み合っている。それと同時に亜美のスポンサーとなった朱鷺と亜美との葛藤も見所だ。亜美は朱鷺に操られることから逃れようとするが、デザイナーとして麗香の上に立つためには朱鷺の元を去ることは出来ない。朱鷺は亜美の人生のデザイナーなのである。
 明(天野浩成)や青石(乃木涼介)との関係や亜美の出生の秘密、そして朱鷺の目的と彼の過去。物語は中盤を越えたが、まだまだ気になる点はたくさんある。今後もめまぐるしい展開を楽しみにしたいと思う。

アストロ球団

 遠崎史朗原作の同名コミックのドラマ化。
 観ていて自分でも面白いのか良く分からない。つまらないわけではないのだが、のめり込むほどでもない感じだ。超人野球は非常に映像的で面白いのだけど、ストーリー自体はあまり面白くない。
 宇野球一(林剛史)率いるアストロ球団と峠球四郎(金児憲史)率いるビクトリー球団の対決も、単純に両チームの超人的な技術を楽しむというだけで、勝敗がどうなるかということはあまり気にならない(アストロ球団が勝つのだと思うが)。
 そういうドラマだと思えば、ある種のバカバカしさがとても楽しいのだが、一般受けはしないだろう。だからこそ深夜ドラマということか。制作者の気合も伝わってきて、決して悪いドラマではないが、個人的にはあまり好きではない(楽しいことは楽しいのだけど)。

ケータイ刑事銭形零(ファーストシリーズ)

 BS-iで放送された、ケータイ刑事シリーズの地上波放送。
 シリーズとして多くの作品が生まれているが、私が観たのは本作がはじめてである。全体的に評判の良いシリーズのようだが、評判通りの楽しいドラマだった。
 一番良いと思ったのは、新しいドラマを作ろうという意志が見えるところだ。最近の地上波の連ドラは原作に頼りすぎていて、勢いが感じられない。それに対し、本作はシリーズものではあるが、常に新しさを目指しているように思う。
 たとえば、第5話の「キラークイーン殺人事件」は劇中劇というメタミステリ的な趣向の中で、物語が展開していて新鮮だった。上手く処理しきれていない点もあったが、十分に楽しめた。
 また、作品全般にちりばめられたシュールな雰囲気も面白い。零(夏帆)と高村(草刈正雄)のやりとりもテンポが良くて楽しいし、他の登場人物たちも、フィクションであることを前面に押し出した設定で愉快だ。ミステリとしての合理性や意外性も損なわれていないので、ミステリ好きにも楽しめるだろう。
 ただ、ドラマにリアリティを求める人にはお勧めできない。この作品は過剰なまでにリアリティを排除している。もちろん、ミステリとしてフェアであるためのリアリティは残されているが、基本的には、非現実的な状況や人物が多用される。それを見てバカバカしいと切り捨ててしまうような人は、このドラマを観ない方が良いだろう。その意味では、バカバカしさを楽しめる人のためのドラマと言えるかもしれない。

スターライト

 実在するスターライトスタジオを舞台にした青春ダンスドラマ。
 スターライトスタジオを舞台にしていることから分かるように、ヴィジョンファクトリー(旧ライジングプロダクション)のタレントが登場する。その中心はFLAMEの北村悠野口征吾の二人である。二人の演技は可もなく不可もなくといった感じだが、いかんせんストーリーがつまらない。
 青春ドラマとしての新鮮さがあるわけでもないし、他の部分に魅力があるわけでもない。作品のアピールポイントは何なのだろうか。タレント主導だとしても、もう少しどうにかしてほしい。主演の星井七瀬がかわいそうではないか。なんだか分からないドラマに出演させられて。
 作品を観ていて伝わってくるのは、ヴィジョンファクトリーの焦りである。ジャニーズの強力な圧力によって、タレントを上手く売り出せないでいるという状況でも、w-inds.はそれなりに人気を集めてきた。しかし、その後に続くべきFLAMEやLeadはなかなかファンを得られないでいるようだ。
 そんななかでスターライトスタジオを舞台に、FLAMEを出演させたドラマというのは、どう考えても事務所の宣伝であり、アピールであろう。個人的な意見だが、このようなやり方は一番やってはいけない手法だと思う。ドラマにせよ、小説にせよ、映画にせよ、描きたい内容や場面があってこその作品である。この作品ではそれが伝わってこない。宣伝的な面が強いからではないかというのはうがった見方だろうか。

序盤の感想

 今期のドラマが始まってから、録画する一方で観る時間がなかったのだが、ここ2週間程度でまとめて観たので、序盤の感想としてまとめておこうと思う。第一話は作品ごとに感想を書こうと思っていたのだが、結局まとめて書くことになってしまった……。
 なお、今期視聴している(いた)のは「危険なアネキ」「1リットルの涙」「鬼嫁日記」「ブラザー☆ビート」「花より男子」「野ブタ。をプロデュース」の6作である。

危険なアネキ

 第一話のみの視聴(第三話は録画したがまだ観ていない)。
 第一話を観た感じでは、全体的に空回りしている印象だった。コメディーにしようとしているのは分かるが、なにか空々しい演出であまり笑えない。佐藤二朗荒川良々清水ミチコら個性的なキャストを揃えているのだが、コメディーの側面を強調するためだけであるように見えてしまった。月九は月九らしくしてればいいんだ!と言いたくなってしまう。そう言いながら、月九的なドラマの場合はいかにも月九的で面白くないと思ってしまうのだが……。
 皆川寛子(伊東美咲)と弟の勇太郎(森山未來)は正反対の性格で、その二人の織り成すドタバタ劇は面白そうだが、借金が絡んできたりとシリアス面をちらつかせるのはあまり好きではない。とりあえず第三話は観るが、その後も続けて観るかは分からない。

1リットルの涙

 実話をもとにしたドラマだが、おそらくかなり脚色されているのだろうと思う(原作を読んでいないので確実ではないが)。にもかかわらず、エンドロールの際にモデルとなった木藤亜也さんの写真を出すというのはあまり賛成できない。しかも、それが純粋に、本当にこのような病気で苦しんだ少女がいるのだという世間へのアピールという感じではなく、視聴者の涙を誘うための演出目的であるように感じられるのがいただけない。エンドロールに本人の写真を入れたことの意図を聞いてみたいものだ。
 ドラマ自体は落ち着いて観られる佳作と言えよう。亜也(沢尻エリカ)も遥斗(錦戸亮)もしっかりとした演技だし、他のキャストも違和感なく演じている。神経内科医の水野(藤木直人)を見ると、「高校教師」を思い出してしまうが、この医師は真面目な人のようなので安心だ。
 ドラマ自体の内容とは関係ないが、ジャニーズのタレントが出ている番組にワタナベエンターテインメント所属のD-BOYSのメンバーである遠藤雄弥が出ていたので、少し驚いた。D-BOYSはジャニーズの圧力を受けていないようだ。やはり歌手ではないからか。もうヴィジョンファクトリーのタレントにも圧力かけなくて良いだろうに。w-inds.だってFLAMEだってがんばってるんだから、Mステとかに出してあげようよ。

鬼嫁日記

 第一話のみで視聴中止。
 久しぶりにひどいドラマだった。最近の関テレはそれなりの作品を作っていたのだが、これはひどい。一話すらまともに見られず、途中で早送りしてしまったのは初めてのことである。
 原作のブログ版も書籍版も読んだことはないが、ドラマ化には無理があったのではないだろうか。話題性の高い原作をドラマ化するという傾向は最近つとにみられるものだが、話題性だけで選ばないでほしい。結果として原作を汚すことにもなるのだから、ドラマ化するのであれば、検討を重ねた上で作ってほしいと思う。
 以前放送された「アットホームダッド」と同じ舞台で物語が展開するという設定は面白い。それを上手く活かしたオープニングも良かった。しかし、肝心のストーリーがダメでは仕方ない。
 山崎一馬(ゴリ)が鬼嫁の早苗(観月ありさ)にいびられるわけだが、その内容が何とも小粒でつまらない。しかも、なんだかんだ言って二人は仲良さそうだし。どうでもいいような夫婦の話を聞かされても楽しみようがない。やるならもっと派手にしてほしいものだ。
 また、演出も安っぽさが感じられて良くない。いつの時代のドラマなんだか。わざと安っぽい演出にしているのならまだ救いがあるが、そうだとしても、意図的であることが伝わらなければダメだろう。

ブラザー☆ビート

 イケメン俳優の共演で、人気が出るかと思ったが、それほど話題にはなっていないようだ。「渡る世間は鬼ばかり」の後釜というのがネックだったのだろうか。
 確かにずば抜けた魅力はないが、小松江里子伊藤一尋コンビだけに、安定したレベルは保たれている。春恵(田中美佐子)の男っぽさが楽しいし、達也(玉山鉄二)・陸(速水もこみち)・純平(中尾明慶)の三人兄弟も微笑ましい。
 第4話までの流れを見ていると、長男→次男→三男→長男→次男→…という順番で一話ごとに中心人物を変えながら物語が進んでいくようだ。三人ともそれぞれ違った性格でぶつかり合うこともあるが、互いに補い合っているという面の方が強い。その三人と春恵の四人のやりとり(実際には、その中の一人に対する他の三人のやりとり)が視聴者と同じ目線であるのが面白い。家族であっても、当事者でなければ他人事のように眺めてしまうという感覚なのだろう。

花より男子

 岡田准一主演「メゾン・ド・ヒミコ」が放送される予定だった枠だが、主題歌をめぐり、TBSとジャニーズがもめた結果、急遽「花より男子」に変更されたという報道もあったいわく付きの作品である。その割には松本潤が準主役で出演している。まあ、TBSからジャニーズの全タレントが引き上げるなどという憶測も呼んだが、上手く収まったのだろう。
 原作のおかげもあってか、面白いドラマになっている。細かい部分にはツッコミどころ満載なのだが、それらに目をつぶれば十分に楽しめる。
 金持ちが集う学校の中でも格が違うF4の4人。その中心人物である司(松本潤)の言動を見ていると、あまりに矛盾が多いような気がする。しかし、よく考えて見れば、彼はまだ高校生なのだ。どんな高級車に乗っていようとも、高校生は高校生。つくし(井上真央)への想いに気付いた後の行動などは何ともかわいらしい。つくしの方がよっぽど大人だろうと思う。
 ただ、司が自分の気持ちに気付くのが早すぎるような気がする。もう少し伸ばしても良いのではないだろうか。これは、「野ブタ。をプロデュース」の修二に関しても同様であるが、それまでの描写から考えると急展開すぎる印象を受けた。もちろん、つくしへの想いに気付いてからが面白い部分ということなのだろうから、無駄に伸ばす必要もないのだが、それならそれで、違和感を抱かないぐらいの伏線を入れておいてほしい。姉の椿(松嶋菜々子)の一言で、一気に積極的になってしまうとは。それだけ「単純バカ」だという受け取り方で良いのだろうか。ちょっと、はじめの頃の冷徹な印象とはギャップがありすぎる。
 今後は子供っぽいマヌケキャラとしての司と、大人っぽいしっかりキャラのつくしのコンビで笑わせてくれるに違いない。楽しみにしよう。

野ブタ。をプロデュース

 放送開始前から話題をさらったが、放送開始後も主題歌が出荷100万枚を突破するなど、今期で一番注目されているドラマだろう。「ごくせん」や「女王の教室」に引き続き、高視聴率を記録することになりそうだ。それにしても、最近の日テレ土曜9時枠は大健闘している。今さらながら日テレブランド確立か。
 ストーリー自体も面白い。ジャニーズ二人組に寄りかかった作品かと思っていたが、予想以上に良くできている。テンポの良さは抜群だし、主要人物のキャラクターもブレがなくて安心できる。ただ、あのカッコイイ制服はズルイ!と思うのは私だけではないだろう。
 はじめは、彰(山下智久)のキャラが良く分からなかったのだが、見ているうちに惹き込まれてしまった。修二(亀梨和也)が自分を冷静な人気者にプロデュースしているように、彰も自分をプロデュースしているのだろう。彰は周囲に嫌われているが、彼自身はとても楽しく学校生活を送っている。そして、何ものにも縛られていない。一方の修二は確かに人気者だが、それゆえに彼は八方美人でいなくてはならず、実は不自由な生活の中にいるのである。家の中で見せる彼の自然な姿の方が魅力的に感じるのだが、学校では自分を演出しなくてはいけないという一種の強迫観念が彼の中にあるのかもしれない。
 信子(堀北真希)がどういう気持ちで学校生活を送っているのかは分からないが、彼女自身は非常に強固な心を持っているようだ。彼女がいじめられ続けるのは、彼女自身の強さゆえに、いじめをそれほど苦にしていないからではないだろうか。彼女の強さを持ってすれば、いじめられっ子でなくなるのは大変なことではないように思う。彼女は「変わりたい」と言ったが、その気持ちはあまり強くはなかったのではないか。現状でも良いという気持ちが心のどこかにあったのではないか。だから変わらなかっただけなのではないか。そんな気がする。それが、おそらく恋愛によって、切実な変身願望へと昇華するのだろう。
 高校を舞台にした学園もののドラマだが、その世界は不思議な浮遊感の中にある。不思議な人物が登場したり、不思議な行事が行われていたり。非日常的な日常空間の中での青春友情物語はありきたりに見えて、非常に新鮮である。このレベルの作品をオリジナル脚本で生み出してくれれば、学園ドラマの未来は明るいと思うのだが、原作依存の傾向は今後も続くのだろうか。

まとめ

 ということで、現段階では「野ブタ。をプロデュース」「花より男子」が一歩先を行っている感じだ。それを追うのが「1リットルの涙」「ブラザー☆ビート」といったところか。
 ただ、今期は全体的に低調なようなので、あまり期待しないのが賢明かもしれない。