第7話「絶対別れない女」
先日書いた中間状況のなかで、離婚弁護士IIについては、かなり厳しい意見を書いた。IIになって加わった新メンバーの中でも、佐伯弁護士(瀬戸朝香)・小向つや子(戸田恵子)の二人は、効果的な役割を担っているようには思えない。特に小向の方はただうるさいだけという感じまでして、印象はすこぶる悪い。ストーリーの展開において、全く役に立っていないわけではないが、基本的には貴子(天海祐希)と三神達也(宇梶剛士)の恋愛に関する役割が中心であり、その恋愛が見ていて特に面白くないし、必要性を感じないので、結果として小向の存在意義も薄れてしまう。
さて、では今回の第7話はどうだろうか。上述の内容は、IIにおける全般的な考えであるので、特に変わることはない。しかし、第7話では、その恋愛の話題がほとんど挙がらなかったこともあり、離婚弁護士の本来的な面白さが感じられた。北尾芙美子(江波杏子)という、一応の敵も存在していたし、北尾龍三郎(清水紘治)の病気という要素もうまく作用していた。そして、様態急変後に芙美子が龍三郎にかけた言葉は、力強さと優しさを内包しており、芙美子という人物の度量を感じさせて、なかなか良かった。
また、この第7話は、火サス(火曜サスペンス劇場)へのアンチテーゼ的な側面もあり、興味深かった。冒頭のいかにも火サス的な演出。いかにも怪しい夫人の登場。そして、その芙美子の不穏な発言と疑惑。火サスであれば、芙美子による遺産目当ての殺人となったかもしれない(火サスだって、そんなに単純ではないが)。しかし、芙美子は犯人であるどころか、夫を最期まで看取ろうという、一応は献身的な妻であった。
この構造は、間宮貴子法律事務所前の広場での、つや子と亜紀(片瀬那奈)との会話の中で指摘された。その会話の中で、つや子は「つい裏見ちゃって。面白いのよ、これが。」と言っている。ここでの裏とは、火サスの裏であり、それは当然、離婚弁護士Ⅱのことだ。物語序盤の段階で、今回の話が火サス的には終わらないことを暗示していたわけである。