ブレイブ

原題:The Brave
監督・出演:ジョニー・デップ
出演:マーロン・ブランド、エルピディア・キャリロ、マーシャル・ベル、ほか
1997年、アメリカ、全119分
2005/06/02、NHK衛星第2「ミッドナイト映画劇場」にて放映
HDDに保存、DVDへの保存は考え中

 貧困にあえぐ北米先住民、ラファエルは家族や仲間たちのために、高額の報酬を得られる仕事をすることを決意した。その仕事とは、スナッフムービー(実際に人を殺す場面を撮影した映画)への出演。当然生きては帰れない。事前に報酬の一部を受け取った彼は、決行までの一週間を家族たちと共に過ごす。
 とても暗い作品。途中で明るいお祭りのシーンなどもあるのだが、ラファエルの未来を知っている観客は、周りの明るさゆえに、余計に哀しみを感じてしまう。どんなに楽しそうなシーンであっても、根底には哀しさや虚しさが流れているのである。
 アメリカ映画とは思えないほどに、静かでゆったりとした流れの作品で、評価は二分すると思うが、私は悪くないと思った。前半30分ぐらいはさすがにのんびりしすぎていて、眠くなったが、それ以降は、やるせない、割り切れない想いを抱きながらも、ラファエルの男らしさと力強さがとても魅力的に描かれていて良かった。
 文明批判やキリスト教批判のような内容も盛り込まれているのだが、やはり中心は、ラファエルの生き様なのだろう。ジョニー・デップについて、詳しくは知らないが、何か深い思想を持っているようで、また監督をしてほしいとも思う。空を効果的に使った映像表現も美しく、そして、人間という存在の小ささや虚しさを感じさせるようでもあった。また、最後のシーンも余韻を残していて良かった。
 問題は、前半の展開の遅さ(というか、ほとんど展開しない)と、説明不足で分かりにくい部分があることと、演技の不自然さ(ある場面で、殺された人物が普通に息をしているので、死んだふりをしているということなのかと思ったら、本当に死んでいたようで、そこだけはひどいと思う)だが、まあ、大目に見れる範囲かもしれない。
 この映画は、落ち込んでいるときに見る映画ではないと思うが、見て損はない映画だと思う。ただ、派手な映画ではないので、好みが別れるのは仕方ない。万人受けはしないが、静かな映画が好きな人にはオススメ。