最終話 「一歩、前へ」

 なんだかんだでハッピーエンド。不倫、離婚、離職など、ずっしりとした要素を盛り込みつつ、これだけ軽い結末にしたのはすごい(良い意味で)。
 それにしても、絵里子(ともさかりえ)の自殺騒動の際に、警備員大集合にもかかわらず、奈央子(篠原涼子)だけが止めようと説得していたのはなんともドラマ的。その後も、崖っぷちでの二人の語り合いを眺めているだけだし。
 この不倫劇のために、奈央子は会社を退職することとなる。その原因は奈央子にもあるかもしれないが、一番の原因は沢木夫妻、特に絵里子にあるだろう。だというのに、絵里子は白々しく、奈央子を会社に残すための署名に協力し、奈央子は彼女に会いに行く。二人ともすごい精神力だ。
 そして、モンゴルへ渡った黒沢(赤西仁)は、いつまでもスーツ着用。モンゴル民族とヤギしかいないところでスーツとは。赤西ファンへのサービスだろうか。以前も、合宿先でケンカした後、謝りに行く時も、帰りの電車でも、ずっと胸のはだけた服装だったが、あれもやはりサービスなのだろう。
 それにしても、モンゴル支社はどういうところだったのだろうか。すぐにカシミヤ工場に行ってしまい、支社自体は描かれなかった。「材料がない」と威張っているような工場と取引しているとは。しかも、着任早々の黒沢一人に材料調達を任せるとは。
 というように、最終話はツッコミどころ満載の、充実した内容だった。全て書いているときりがないので、これぐらいにしておく。
 そういうツッコミどころからも分かるが、最終話は完全にコメディーであった。シリアスになったりコメディーになったり、忙しいドラマだ。原作はシリアス、というか、ホラーだそうだが、ドラマはコメディー一筋でよかったのではないかと思う。製作者側も、視聴者側もコメディードラマを目指し、求めていたのではないだろうか。にもかかわらず、シリアスが紛れ込んでしまったのは、原作を意識しすぎたからだと思う。
 何度も、同じようなことを書いているが、原作は原作として、ドラマはドラマとして、独立していても良いと思う。最近は、小説等を原作としたドラマも多いが、効果的なドラマ化は容易ではないということだろう。
 ドラマ全体としては、ハッピーエンドで、結末も面白かっただけに、中盤の中途半端さがもったいなかった。篠原涼子赤西仁のコンビは良かったので、続編(コメディー)か、違うドラマでの共演があると良いと思う。