第4艇

 今回から、中田三郎をKAT-TUN田口淳之介が演じることになった。それは良いのだが、どうして何の断りもないのだろうか。キャスト変更に関しての報告ぐらい表示すべきだと思う。細かく説明する必要はないまでも、都合によりキャストが変わりましたというような趣旨のものは絶対に必要だったはずだ。
 確かに、内博貴の一件はスポーツ紙等を中心に、大きな話題となったから、視聴者のほとんどがキャストが変更するということを知っていたのかもしれない。しかし、そういう芸能情報とは無縁で、純粋にドラマを楽しんでいる人もいるだろう。そのような人は、今回の突然のキャスト変更をどう思っただろうか。
 中田の登場時に、関野(錦戸亮)が「お前!中田三郎!」と、わざとらしくフルネームで叫んだのは、新キャストの紹介代わりだったのだろうが、キャスト変更を知らなかった視聴者は突然の入れ替わりに困惑したに違いない。ドラマの途中でのキャスト変更という大変大きな事態であるにもかかわらず、何の断りもなく、平然と入れ替えてしまう制作者側の態度から感じるのは、結局視聴者のことなど何も考えていない、視聴者不在の姿勢である。彼らの目は視聴者ではなく、大手プロダクションの方を向いているのだろうか。そんな意識だから、人気タレントを集めただけの駄作ドラマを量産してしまうのだろう。ドラマを創るということにもっと真摯になってほしい。
 さて、その新・中田だが、やはり違和感があるのは否めない。それは当然のことであるし、仕方ないことであろう。そっくりの双子でもない限り、演者が変わって違和感を感じないなどということはありえない。だから、違和感を感じたという理由だけで、田口批判をするのは誤りである。これは制作の都合上仕方のないことであって、彼を批判するのは理不尽だ。
 視聴者としては、田口演じる中田に慣れるしかない。たしかに、内が演じた中田はクールできつい印象だったが、田口版の中田は人懐っこくて優しそうであった。これは演者自身の雰囲気からくるものだろう。田口は笑顔が魅力的で、かわいらしい雰囲気であるから、それが反映されているように思う。制作者が彼を代役に決めたのだから、そういう雰囲気の中田を描こうという考えに違いない(事務所の推薦で仕方なく、などということは断じてないはずだ……)。だから、新しい中田は、新しい中田として観ていくべきだ。
 今回、悦子(鈴木杏)率いる女子ボート部は、安田(北条隆博)率いる男子ボート部と決別する結果になってしまった。この状況をどう乗り越えてゆくかというのは大変興味深い。次話以降が楽しみだ。
 なお、次週は特別編ということで、制作風景などを放映するらしい。これは、撮り直しに伴う時間稼ぎのようなものだろう。その時間を有効に使って、無理のないドラマをつくってほしいものだ。