落合扶樹トーク&握手会+「蒼のシテン」上映会レポ

 私が今一番注目している俳優を挙げるとすれば、それは間違いなく落合扶樹である。
 と、まあ、こういう硬い文体で書きはじめると、ついつい厳しい内容になってしまうので、今回はふにゃらかと書くことにします。敬称略も解除にしましょう。
 あらためて。
 私は最近、落合扶樹くんに注目しています。なんてことを言いながらも、実際には彼の出演作をあまり見ていません。「楽園のつくりかた」と「Pinkの遺伝子」ぐらいかな。二つの作品は毛色が全くと言って良いほど異なりますが(ストーリー等の詳細は省略します)、そのどちらにおいても、彼が演じた役は何かしらの葛藤を抱いた(あるいは、抱くことになる)少年です。これは当然と言えば当然のことで、物語の中心に中学生を据える場合、その年代特有の「悩み」や「成長」を描こうとするものです。。もちろん、これは中学生に限ったことではなく、物語の多くが「悩み」「成長」「恋愛」などの共通した要素の組み合わせで成り立っています。この話を続けていくと長くなりそうなので、バサッと切り上げますが、物語って大きなパーツ自体はそれほど大差ないんですよね。
 で、落合くんの話に戻りますが、彼は「悩み」を表現するのがとても巧い役者だと思っています。「悩み」すなわち「心の葛藤」を描く場合、小説であれば、それを文字にすれば良いのですが、演技の場合はそうもいきません。もちろん、モノローグという手はありますが、それは抜け道のようなもので、あまり多用されると空々しさを感じさせてしまいます(効果的なモノローグもあるので、モノローグ自体が悪いというわけではありませんが、不自然な印象を与える場合も多いように思います)。
 また横道にそれてしまいましたが、落合君は「心の葛藤」を表情で伝えてくれます。文字化・音声化せずに伝える技術というのは役者にとって欠かすことの出来ないものだと思いますが、それをしっかりと身に付けているという印象を受けるので、彼に注目しているのです。あの憂いある表情は本当に魅力的です。声も良いですしね。

 というのが前置きです。落合くんをご存じない方もいるだろうと思ったので書いたのですが、長いですね。反省。
 さて、この記事の本題は、本日行われた「スマイルモンキーファン感謝DAY 第2部:落合扶樹トーク&握手会+「蒼のシテン」上映会」というイベントについて書くことです。私がこのイベントを知ったのは昨日。都合をつけて、急遽参加してきました。まさに滑り込みセーフ。東京在住ゆえになせる業です。
 本当はイベントレポを書くつもりはなかったのですが、公式サイトの掲示板などを見ると、遠くて来られない方や、雪の影響で来られない方、体調を崩して来られない方など、残念な思いをされている方がたくさんいらっしゃるようなので、そのような方々に少しでも雰囲気が伝えられればと思い、書くことにしました。
 とはいっても、そのつもりでいなかったので、メモもとっていませんし、ビデオ撮影・音声録音などもしていません。なにせ、カメラさえ忘れて、写真撮影の時間を虚しく過ごしたぐらいですから(どなたか、撮った写真を送ってください……)。そのため、細部までは書けませんし、間違いもあるかもしれません(そして、無駄が多いです)。大まかな流れと雰囲気ということでご了承ください(教えていただければ、加筆修正いたします)。
 書き方はについてはそれなりに悩みましたが、とりあえずおふざけはやめて、ちゃんと書きますので(※注:「ちゃんと」には個人差があります)、感想などお聞かせいただけると嬉しいです(読んで不快になるということはないと思いますが、もしそのような気持ちを抱かれたら申し訳ありません)。第二の前置きも長くなりましたが、本題のイベントリポへと移ります。

★★★★★

 「寒波吹き荒れる」そんな見出しが新聞を支配した日。吹き荒れる寒波を吹き飛ばすほどの熱気が吹き出てくる場所があった。活火山の火口。それもそうかもしれない。でも、ほかにもあった。東京都新宿区市谷本村町、「市区町村」が揃った住所、防衛庁がある住所、日本の中で最も安全な気がする場所、でもテロの標的になりやすいであろう場所、まさにその防衛庁の目の前、そこにあるビルの地下、そのライブハウスから、あのマグマは吹き出していたのだ。
 何と大げさな書き出しだろう。でも、それを認めさせるぐらいの熱気は確かに存在した。日曜日の市ヶ谷は人通りが少なく、刺すような寒風は肌ばかりでなく心にまで突き刺さるかのようだ。だが、そんな寒さをものともせず、イベントの開場を待つ人々は心を弾ませていた。映像でしか見たことのない、憧れの落合扶樹くんに会えるという喜びが胸を満たしていたからである。
 開場が近づくと共に、徐々に人数が増えてきた。5、60人にもなるだろうか。落合くんと同年代の女性たちが多いが、小さい子を抱えたお母さんや、落合くんのお母さん世代の方、さらには男性の姿も散見され、年代・性別を問わぬファン層の厚さが感じられる。
 そして、開場。ドリンク付\1500という非常に良心的な価格を設定して下さった、スマイルモンキーのスタッフの方々の視線に見守られつつ、順に入場するファンたち。その手には、整理券とドリンク券、そしてなぜか折り紙が強く握り締められていた。
 前から順番に席が埋まってゆく。席に荷物を置くと、財布を片手に物販コーナーへと集まった。イベント限定販売の「落合扶樹 Private DVD」を購入しているのである。そのDVDは一枚一枚直筆のサインが書かれているというファン垂涎の一品だ。
 そうこうしているうちに、人の動きも落ち着き、いまかいまかと開演を待ち受ける臨戦態勢へと変化した。ある種の緊張状態がその場に渦巻き、静寂が生まれる。と、その静寂を破る声が!司会の登場である。司会の方のちょっとしたトークで雰囲気が暖かくなり、そして、「蒼のシテン」の上映が始まった。富山だけで放送されたこの1時間ドラマの主演は、もちろん落合くんだ。ファンたちはみな、身動き一つせず真剣にスクリーンを見つめている。スクリーンが微妙に揺れていたのは、見つめられたスクリーンが恥ずかしがって身をよじっていたのだろうか。だとしたらこう言いたい。「スクリーンくん、みんなは君を見ているんじゃないんだよ。君に映った落合くんを見ているのだよ」
 上映終了と共に、微妙な拍手が起こる。拍手のタイミングというのは難しい。そんな拍手で居場所を失ったかのようにスクリーンが上がっていき、ステージには椅子が用意された。落合くん本人の登場である。
 響き渡る拍手を身にまといながら登場した落合くんは、一言で言えば「細長い」。「すらっと」という擬態語は彼のためにあるのではないかというぐらいに「すらっと」した体型で、おしゃれ。カッコイイという形容詞を映像化したら、まさにこんな感じだろう。感嘆のためいきが聞こえてきたのも当然である。
 そしてトークタイムが始まった。司会者と落合くんによるライブ感たっぷりのトークに誰もが魅了されていた。撮影における苦労話やプライベートにおける苦労話(原宿での災難?)から、服の話まで、途中に微妙な間を挟みながらの魅力あふれるトークにファンたちの笑顔は絶えなかった。
 続いては質問タイムだ。落合くんが番号を引き、同じ番号の整理券を持っている人が直接質問できるという抽選型質問タイムである。スポーツやギター、スポーツの話では饒舌だった落合くんも勉強の話になると(以下略)
 幸運な4人が質問した後は、新たな質問タイムとなった。今度は、入場時に配られた折り紙に質問を書き、それを落合くんに向けて投げ(つけ)て、彼に拾われた質問が読まれるというものである。会場中から、丸められたり、たたまれたり、鶴を折りかけたりした折り紙が投げつけられる様子はまさに「帰れ!と言われている感じ」(落合くん談)であった。そんな不思議な状況の中、3つの質問が落合くん自身によって読み上げられた。
 「子供に付けたい名前は?」という奇抜な質問を弟の珍しい名前を紹介することで華麗にすり抜けた落合くんを襲ったのは続く2つの質問であった。「彼女はいますか?」というど真ん中ストレートの直球にたじろぎつつも、「募集中です」との答えを返した。これがホームランだったかゴロだったかは知らないが、「昔の中島美嘉さん」のような女性が好きということであった(ちなみに、最初のトークタイムでは「口説き方」の話も披露)。
 次に釣り上げられたのは「この質問ヤだ!」と言って読み上げるのを躊躇したほどの大物。「カラオケで歌う得意な歌を歌って下さい」というものである。その場では歌ってくれなかったが、ロックを歌うということであった。
 こうして、質問タイムは終了した。落合くん自身が自分は「天然」であり「ナチュラル」(?)であると発言するなど、いろいろと楽しい質問タイムだった。なお、質問が取り上げられた方々には、来年、「落合扶樹直筆年賀状」が届くということで、当たった方々はとても嬉しそうだった。ちなみに、それが「お年玉付き年賀はがき」の抽選に当たる確率が高くなるからという嬉しさでないことは自明である。
 そして、撮影タイムが訪れる。上品なファンばかりで、場が紛糾することもなく、みんな落合くんをファインダーに写し込むことに成功した様子だった。そこで使われたカメラがデジカメや携帯であったことに時代の変化を感じた人などいなかったことだろう。それぐらいに熱中していた。
 5分程度の撮影タイムも無事終わり、ステージ上での企画は終了。次いで物販コーナーでツーショットポラの撮影が行われた。落合くんと並び、ポーズを決めてのポラロイド撮影は素晴らしい記念になることだろう。その際にプレゼントを渡したり、ちょこっと話をしたり、そして握手をしたりとそれぞれが夢のようなひと時を満喫していた。「熱は温かい方から冷たい方へと流れるから、自分の手が冷たければ、落合くんの熱を受け取ることができる!」などというおかしな計算をした人はいないだろうが、彼の手の暖かさはそれぞれのファンの心にまで到達したに違いない。
 その撮影が終わったところで、落合くんが一言のあいさつをして退場した。ファンたちも三々五々に会場を去り、イベントは幕を閉じた。その間約二時間。あっという間の二時間だった。遠く北海道からいらした方もいたが、みな充実したその二時間を胸に、帰路へとついたことだろう。刺すような寒さを感じなくなるくらいに暖かい時間を過ごせたのだから。