『ウィーツィ・バット』フランチェスカ・リア ブロック

ウィーツィ・バット

ウィーツィ・バット

フランチェスカ・リア ブロック
金原瑞人・小川美紀 訳
創元コンテンポラリ (2002/07/26)
\504(税込)
Amazon.co.jp で詳細を見る
(勝手に10段階評価。4が標準、10が最高)

 おしゃれな少女、ウィーツィ・バットとカッコいい少年、ダーク。お似合いのカップルが誕生したかと思ったら、ダークがゲイだと告白した。だから二人は恋人ではなくて、友人。しかも、一緒に「理想の恋人」を探すほどの親友。二人はいいオトコをゲットするために、右往左往の毎日を送るのだった。
 全米で大反響を読んだヤングアダルト小説ということで、読んでみたのだが、スタイリッシュで、ポップで、おかしかったり、ジーンときたり、評判どおりの傑作だった。
 翻訳の巧さもあるのだろうが、とにかくテンポが良くて読みやすい。そして、登場人物たちがみな生き生きしている。かといって、ただ読みやすいだけでは終わらないところがすごい。言葉遊びで笑わせてくれたり、ファンタスティックな描写で不思議な感覚を与えてくれたり、ウィーツィたちの言動に泣かされたり……。
 読んでいるうちに、心地よい浮遊感を感じる。なんだか分からないけど、なんだか幸せな気持ちになってしまう。どこまでが現実で、どこからが空想なのか分からない。でも、そんなことはどうでも良い。きっぱり分けることができないのが、この作品の魅力なのだ。そして、それはまた、現代社会の魅力でもあるのかもしれない。ヤングアダルトとして単純にくくってしまうにはもったいないほど、実のびっしりと詰まった作品と言えるだろう。