第10話「品川心中」

 このドラマ自体が一つの人情話で落語であるということを再認識した。林家亭どん兵衛西田敏行)と組長(笑福亭鶴瓶)を中心とした人情味溢れる人々の物語なのだ。
 相変わらず、作中で演じられる創作落語はあまり面白くないのだが、それは仕方ないのだろう。それよりも、このドラマ自体を一つの創作落語と見るべきなのかもしれない。毎回、高座での登場人物の語りから物語が始まるのも、ドラマ全体が創作落語であることの暗示であるととらえることも出来る。
 きっと、作中の創作落語はクサイ人情物語であることをカムフラージュするための目くらましなのだろう。宮藤官九郎というのは涙を誘う人情ものであっても、直球を投げずに変化球を駆使するような脚本家だろうから。