第1話「6週間の奇跡」

 最近多い、ヒット小説の再々利用ドラマ。成宮寛貴ミムラという夫婦の組み合わせに不安があったが、意外と無理なく見られた。ただ、秋穂巧(成宮寛貴)と息子の佑司(武井証)の様子を観ていると、親子というよりも、兄弟っぽかったが、まあ、それはそれで悪くはないと思う。
 この手の再利用モノにはあまり期待しないのだが、予想以上によい出来だった。主要人物を紹介し、その関係性を描き、今後のストーリーへの期待を持たせるというのが初回の役割だが、その点うまく押さえていたと思う。
 原作・映画とも未見だが、妻である澪(ミムラ)が残した絵本と現実とがリンクしているというのは、原作通りなのだろうか。ありがちな設定ではあるが、物語の不思議さを強める役割を果たしていて良かった。
 初回を見た段階では、雨の日に現れた澪は本物ではないようだ。彼女が本当の澪でないならば、今後の3人の関係性の変化が気になるし、彼女が本物であったならば、それもまた不思議なストーリーで魅力がある。どちらでも面白そうで、期待できる作品だ。また、物語の不思議さに調和した、幻想的で美しい映像も心地よかった。
 原作者の市川拓司は純愛ブームの中の作家として人気を集めているが、彼は単なる純愛物語を描くのではなく、ミステリや幻想小説などに近い一ひねりを加えることによって、作品の魅力を高めているように思う。この作品もそのような特長が表れているようで、今後の展開に期待したい。