第1艇「漕ぎたい」

 「ウォーターボーイズ」の女版という感じだった。あるいは、このドラマの男版が「ウォーターボーイズ」なのかもしれない。
 だからダメだというわけではなく、十分に面白かった。配役にも無理がなく、それでいて人気の高い俳優(アイドル)も起用しているので、視聴率もそれなりにとれるだろう。
 問題は、このドラマのターゲットが男性なのか女性なのかがよく分からないというところだ。「ウォーターボーイズ」の場合、若手男優を大量に起用し、しかも水着姿を見せるという点で、女性への訴求力が強かった。
 しかし、本作の場合、篠村悦子(鈴木杏)や矢野利絵(相武紗季)を中心にしているところを見ると男性向けなのかもしれないが、一方で、関野浩之(錦戸亮)や中田三郎(内博貴)を登場させているのは女性視聴者に対しての戦略だろう。もちろん、「ウォーターボーイズ」でも、若手女優が出演してはいたが、山田孝之市原隼人などの男優陣のウェイトが重く、男性視聴者は少なかったのではないかと思う。
 それに対して、本作は明確なターゲットが見えにくい。ドラマの視聴者は、一般的に男性よりも女性の方が多いようなので、女性の存在を無視することはできないのだろうが、この配役(錦戸・内のツートップ)では、ジャニーズファンしか獲得できないような気もする。どうせなら、女子ボート部だけでなく、男子ボート部のメンバーも人気のある若手男優で固めて、男女どちらにもアピールするようにしても良かったのではないかと思う。
 そのような見方はともかくとして、主要キャストはそれぞれ役に合っているようなので、ドラマとしては安心して観ていられそうだ。原作、映画版ともに未見なのだが、今後の展開が「ウォーターボーイズ」に似通っていると魅力も半減すると思うのだが、なんとなくそうなってしまう予感もあって、少し心配だ。
 とはいえ、方言に彩られ、豊かな自然の中でのゆったりとした雰囲気は「ウォーターボーイズ」とは異なっているので、おそらく違った魅力が感じられると思う。ストーリーが練られていれば、良いドラマになる可能性は十分にあるだろう。