第1回「バカとブスこそ東大へ行け」

 一応は期待程度の内容だったと思う。物足りない感じもしたが、初回はこの程度だろうか。仕方のないことだが、主要人物の紹介とドラマの方向性の提示に終始した感もある。
 桜木建二(阿部寛)は口が達者な貧乏弁護士。この設定は、「最後の弁護人」や「トリック」での彼の役にそっくりなのだが、同様の設定に見慣れているせいか、ハマリ役のような感じがする。阿部寛にはどことなくウサン臭さと投げやりっぽさが感じられるので、こういう役に向いているのかもしれない。彼の出るドラマは彼の言動を観ているだけでも面白い。だから、本作も阿部寛主演というだけで楽しみなのだ。
 一方、龍山高校3年生の主要なメンバーは矢島雄介(山下智久)、水野直美(長澤まさみ)、緒方英喜(小池徹平)、奥野一郎(中尾明慶)ら。それにしても、小池徹平はこのところ、あらゆる学園ドラマに出演している。「ごくせん2」「ウォーターボーイズ」「ヤンキー母校に帰る」などと大忙しだ。バーニング所属だからだろうか?その割に、相方のウエンツ瑛二はドラマではほとんど見かけない。演技力や人気の問題なのだろうか。
 また、山下智久が挿入歌を歌うということが話題になっていたが、第1回の中では、あまり効果的な使われ方ではなかった気がする。「ごくせん2」では亀梨和也の「絆」が挿入歌として使われていたが、こちらはとてもよかった。メロディーや歌詞が作品に合っており、効果的な場面で使われていたので、いまでもあの曲を聞くと「ごくせん」を思い出すという人も多いだろう。本作での「カラフル」がそれに匹敵する曲になるかどうかは今後にかかっていると思うが、どうもうまくいかないような気がしてしまう。
 ところで、このドラマは同名のコミックが原作だが、そのコミックは郁文館学園を意識して作られたのだろうか。郁文館は歴史ある名門学校だったが、土地の運用などに失敗し、経営に行き詰まった。その再建に乗り出したのが居酒屋チェーン「和民」などをはじめとして、介護分野など幅広い経営を行うワタミフードサービス社長の渡邉美樹氏である。彼が行った再建の様子は、日本テレビ系列の「ザ・ノンフィクション」(東京では日曜午後2時から)という番組において、第2弾まで放映された。その第2弾が放映されたのはつい1、2週間前のことだ。経営の成り立たなくなった高校を、進学率を高めることで再建するという方向性が似ているので、意識しているように思うのだが、どうなのだろうか。
 それはさておき、ドラマとしては、桜木の言動に注目したい。それと同時に、個性豊かな教員たちの待遇も見所だろう。また、当然ながら生徒たちにも目を向けなくてはならない。だが、初回を見る限りでは、生徒たちに魅力を感じられなかった。阿部寛主演ドラマでは、彼が強すぎて他の出演者が隠れてしまうことがあるので、生徒役の俳優たちもがんばって対抗してほしい。桜木、教員、生徒のバランスが釣り合えば、きっと面白い作品になるだろう。