第一球 前編

 深夜3時過ぎから始まる、テレビ朝日のマンガ原作ドラマである。同じく深夜放送だった「ホーリーランド」はここまで遅くなかったと思う。だが、放送形態からいって「ホーリーランド」の次の作品が「アストロ球団」というとらえ方で良いのだろう。
 放送は全18回だが、1回が30分なので、前後編に分けて全9話となる。その第1話(第一球)の前編は、初回ということもあり、アストロ球団結成へと動き出すまでの経緯と人物の紹介等で終わってしまった。30分という時間を考えれば、仕方ないことだろう。
 だが、実際の野球選手たちも登場し、かなり気合を入れた制作態度であった(にもかかわらず、後楽園球場でのシーンが合成らしかったのは、エキストラの募集が間に合わなかったためだろう)。
 仰天キャストは、古田敦也役として登場した古田敦也(本人)。2005年9月9日午後9時9分9秒に夜空を駆け抜けた9つの発光球のうちのひとつを目撃した古田は、アストロ球団の監督であったJ・シュウロ(J.J Sonny Chiba(千葉真一))のもとをたずねた。シュウロの話を聞いた古田の語りから、アストロ球団が活躍する1972年へと時代は移り、物語は始まる。
 というように、古田は前半の語りをつとめ、かなり重要な役である(毎回登場するかは微妙だが)。大きな演技をする場面は特になかったが、語り口からは緊張した様子が伝わってきた。
 そして、その1972年の甲子園球場。アストロ超人の一人、宇野球一(林剛史)は江夏を名乗って登板し、王(義田貴士)・長嶋(神保悟志)と対決する。宇野が繰り出す投球は、まさに超人的な(メチャクチャな)動きで面白い。しかも、最後には爆発して煙を撒き散らす。その間に宇野は消えてしまった。
 マンガ的な面白さが横溢していて良い。ギャグやパロディがあるわけではないが、各人物を見ているだけで楽しめる。最近、野球マンガの映像化が相次いでいるが、その流れに乗ったというだけではない、制作者側の意気込みが感じられるドラマだった。
 ちなみに、長嶋一茂も出ているが、長嶋一茂役でも長嶋茂雄役でもなく、沢村栄治役であった。
 さて、今回は残念ながら感想を書くほどの内容がなかったが、次回以降に期待できる展開だった。原作は未見なので、どんなアストロ超人が登場するのか楽しみにしたい。