Take5「クビにしないで!!」

 雅子(松下由樹)とひかり(深田恭子)が考えた企画は通らなかったが、雅子はプロデューサーとして『流れよ我が涙と少年は言った』のドラマの制作に携わることになった。長谷川(谷原章介)もプロデューサーとして関わるのだが、この二人の関係は以前とは異なり、対立することになるだろう。
 その原因となったのが、部長である佐久間(伊原剛志)だ。その佐久間はドラマを愛しているようには思えない。少なくとも、雅子の方がドラマを愛しているだろう。にもかかわらず、佐久間の方が立場が上であるし、製作総指揮も務めている。
 結局、クリエイティブな仕事で、仕事に対する熱意や愛情が重要なものであっても、熱意より権力が勝ってしまうのだ。熱意ある権力者ならば大歓迎だが、権力を得る人間は、佐久間のように上手く立ち回ることのできる人間であり、他人を上手く動かせる人間である。現実のドラマ制作の現場も、スポンサーや局の上層部に良い顔を見せられる、ある種の狡猾さをもった人間が中心になっているのかもしれない。
 ところで、作中後半に北風と太陽の童話に関する話が出ていた。その際雅子は、旅人はコートを着ていたいにもかかわらず、なぜ脱がそうとするのかということを言った。これは物語においてほぼ不可避である「操り」への問題提起とも受け取れるし、視聴者のことを考えないドラマ制作の現実への批判であるとも考えられる。そう考えられるものの、おそらく深い意味はないのだろうが。