第7話

 とうとう真矢(天海祐希)の真意が、彼女自身の言葉によって明らかにされた。真矢は、子供であるということに逃げ、周囲の大人や友人に責任を転嫁して生きる生徒を目覚めさせることを目的としていたのだ。以前の感想にも類似のことを書いたが、彼女は自分で考え、自分の意見を持ち、自分の責任で行動し、何があってもその信念を曲げない人間、すなわち、真矢自身のような人間を育てることを目指していたのである。
 そして、その教育は今回の終盤でかなり成功に近づいたものの、まだ確実とはいえないだろう。真矢が言うように、人間とは弱いものであるから、今回の結束もまた崩れる可能性がある。自分の意志を強く持つことを身を持って教えられた恵里花(梶原ひかり)や、その友人たちの結束は揺るぎないかもしれないが、それ以外のクラスメートたちはまだ自分自身の体験として得たわけではないから、おそらく容易に断ち切られてしまうことだろう。
 この結束・断絶の繰り返しによって、少しづつ成長して行くという、恐ろしく長く、根気のいる教育を真矢は行おうとしているのだ。そのためには、愚鈍な親たちや校長たちに止められてはいけない。決して、途中で中断することのできない、大掛かりな教育を行っている彼女が、教師を決して辞めないという強い決意を抱いていることは当然のことなのだろう。そういう決意なしに、このような深遠な教育を実践することは無謀であるどころか、生徒のことを考えても決して行ってはいけないものなのである。
 さて、次回予告の真矢の変貌であるが、あれはどういうことなのだろうか。以前も書いたが、たとえ真矢が生徒思いの教師だとしても、そのことを明かしてしまっては、凡庸なドラマになり下がってしまう。決してそうと語ることなしに、視聴者に気付かせることが重要であるし、制作者側もそう考えていることだろう。だから、あの、変わり果てた真矢の姿は、だれかの夢や妄想、あるいは理想や願望であるか、「再教育センター」に送られる前の真矢であるのではないかと思う。ただ、「ごめんねー。これが本当の私なの。」という台詞が入っていたことを考えると、後者である可能性は薄いだろう。