正しい恋愛のススメ

 先日、TBS系の愛の劇場で放送されていたドラマ「正しい恋愛のススメ」が最終回を迎えた。いわゆる昼ドラを見るのは、3年ぶりぐらいになるかもしれない。その頃はビデオ録画だったが、今ではHDD録画でとても快適だ。
 それはともかく、全30話(6週間)とそれほど長い作品ではなったが、30分の中で毎回何らかの展開があり、飽きることなく楽しめた。一条ゆかりの漫画が原作で、原作ファンにはあまり評判が良くないようだが、ストーリー自体がとても面白いので、原作を知らない私にとっては、毎回観るのが楽しみだった。
 このドラマに限らず、ある作品が映像化される際、原作ファンがキャストに納得出来る場合というのは稀有なように思う。小説であれば、読者の中でイメージが出来上がっているし、漫画であればイラストのイメージがあるので、キャストの人選というのは非常に難しいだろう。
 本作の場合、原作を読んでいない私としては、キャストに違和感を感じることはなかった。岬玲子役の大島さと子がそんなに魅力的なのかという疑問はあるが、男っぽい部分を内包した脚本家の役をしっかりと演じていたと思う。また、竹田博明役のウエンツ瑛士の演技に関しては、あまりに棒読みすぎてなんとも評価しがたいが、バラエティで鍛えた成果なのか、コミカルな演技は悪くなかった。
 ただ、一番光っていたのは、玲子の親友であり、プロデューサーである木原順子役の木野花ではないだろうか。彼女のおかげで作品が引き締まっていたと思う。舞台女優だけあって、演技に揺らぎがなく、見ていて心地よかった。また、博明の母親、敦子役の岡本麗も味があって良かった。
 護国寺洸役の半田健人タモリ倶楽部でのマニアックな言動で注目していたが、演技も悪くなかったと思う。その他、小泉美穂役の仲程仁美や原田一樹役の小木茂光らもそれぞれに魅力的であった。主役以上に脇役の魅力が大きかったと言える気がする。
 ストーリーも良く出来ていて、毎回ワクワクさせられた。ただ、最終回だけは肩透かしを食らったような気分である。原作もあのような終わり方なのだろうか。まあ、コメディーだから、暗い結末になるよりは良いかもしれないが。
 最後に関連記事として、読売新聞の記事を抜粋引用しておく。

 少女漫画界の女王・一条ゆかり原作の作品が、TBS系の昼帯ドラマを“独占”している。9月にスタートした「正しい恋愛のススメ」(月〜金曜、後1・00)に続き、今週からは不朽の名作「デザイナー」(月〜金曜、後1・30)が始まった。(津久井美奈)

 1968年にデビューした一条は、富豪の令嬢・子息6人組が活躍するコメディー「有閑倶楽部(くらぶ)」や、フランスの富豪の娘と幼なじみの悲恋を描いた「砂の城」など、華麗でゴージャスな作品で知られ、30〜40代の主婦層に絶大な人気を誇る。現在は、声楽家をめざす女性2人の相克を描く「プライド」を女性漫画誌「コーラス」に連載中だ。

 74年に少女漫画誌「りぼん」に連載した「デザイナー」は、初期の代表作。ファッション界を舞台に、孤高のモデル・亜美(松本莉緒)と誇り高きトップデザイナー・鳳麗香(国生さゆり)がプライドをかけて闘い、やがて悲劇へと向かう愛憎劇。制作は毎日放送(大阪)で、脚本は「ごくせん」の松田裕子が手がける。

 一方の「正しい恋愛のススメ」(TBSなど制作)は、大人向け雑誌に活動の場を移した90年代のヒット作。離婚歴のある美貌(びぼう)の脚本家・玲子(大島さと子)と、その娘・美穂(仲程仁美)の恋人・博明(ウエンツ瑛士)との恋を通して、昨今の女性の恋愛観や人生観をコミカルに描いた作品だ。

 「2作の同時ドラマ化は偶然。『正しい恋愛のススメ』は、『プライド』のドラマ化の話をいただいた時、昼ドラマならばこちらが向くと私が薦めました。『デザイナー』は、脚本家の方もぜひにと言われたのでドラマ化になりましたが、なんで今さらと思いました」と一条は笑い、喜ぶ。