第2話「フーゾクに就職!?」

 このドラマは、「いい男といい女が出て、泣けて笑えてハラハラドキドキする」ドラマへのアンチテーゼではなく、そういうドラマそのものを創ろうとしているように思う。そう思って観ると、意外と成功していて面白い。
 長谷川(谷原章介)がいい男で、ひかり(深田恭子)がいい女なのだろうが、二人ともすこし抜けている部分があって、嫌味がない。永井(松下由樹)の言動にも説得力があるので、観ていて無理なく楽しめる。
 「泣けて笑えてハラハラドキドキする」部分もしっかり押さえられていて良い。特に、ひかりの弟である、武史(篠田拓馬)と悟(綾部守人)のやり取りが愉快でありつつも、哀しさを感じさせてくれるのが上手いと思う。
 中盤、弟二人の将来の夢を聞くシーンで、「幸せになりたい!」と答えた悟。幸せになるためには、お金以外になにが必要かという疑問に、彼は「借金?」と言った。それに対して、武史は「もしそうだったら、僕らはもう幸せだよ。」と笑っていたが、その様子を見ていると、この家族はとても幸せそうだった。彼らは、お金こそないものの、幸せになるために必要なものを持っているのではないかと思う。お金がなくても幸せだというのは、とても陳腐なものであるが、このドラマでは、それを言葉で言ってしまうのではなく、人物の行動で示すことに成功しているという点で、評価できるのではないだろうか。
 それは、ドラマ全体にも言えるような気がする。ひょっとすると、このドラマは、使い古された設定や表現を上手く処理して、新鮮なものへと昇華させようとしているのかもしれない。